デパートの屋上に生まれた新しい文化 老舗百貨店と仕掛ける“デパそら” | よろず支援拠点全国本部

TOP全国の支援事例デパートの屋上に生まれた新しい文化 老舗百貨店と仕掛ける“デパそら”

デパートの屋上に生まれた新しい文化 老舗百貨店と仕掛ける“デパそら”

令和2年に創業した「ファイブフィンガーズ合同会社」の始まりは、地元有志の集まり。コロナ禍で疲弊する浦和の飲食店支援を通じた地域活性化プロジェクトを行っていたところ、地元の老舗百貨店「伊勢丹浦和店」40周年のコラボ事業を機に、ビアガーデンの時期以外に閑散としていた百貨店屋上で、都市型アウトドアスペース「デパそらURAWA」を展開することとなった。令和5年に3年目を迎えた「デパそらURAWA」は、老若男女、 年間3万人が訪れる浦和の憩いの場になっている。

公開日: / 都道府県:埼玉県 業種:サービス 課題: その他

ファイブフィンガーズ 合同会社

代表者:長堀 哲也(ながほりてつや)
住 所:〒336-0023 埼玉県さいたま市南区神明1-2-1-106
URL:https://www.depasora.com/

令和2年に創業した「ファイブフィンガーズ合同会社」の始まりは、地元有志の集まり。コロナ禍で疲弊する浦和の飲食店支援を通じた地域活性化プロジェクトを行っていたところ、地元の老舗百貨店「伊勢丹浦和店」40周年のコラボ事業を機に、ビアガーデンの時期以外に閑散としていた百貨店屋上で、都市型アウトドアスペース「デパそらURAWA」を展開することとなった。令和5年に3年目を迎えた「デパそらURAWA」は、老若男女、 年間3万人が訪れる浦和の憩いの場になっている。

公開日:
都道府県:埼玉県/業種:サービス/課題:その他

ファイブフィンガーズ 合同会社

代表者:長堀 哲也(ながほりてつや)
住 所:〒336-0023 埼玉県さいたま市南区神明1-2-1-106
URL:https://www.depasora.com/

目次

  1. 相談のきっかけ
    笑顔が溢れた2日間、屋上遊園地をもう一度
  2. 課題
    デパートの屋上に新しい文化をつくり出す
  3. 支援内容
    メディアへのPRと口コミを狙ったSNS戦略
  4. 支援の成果
    浦和に新しい文化が生まれる

相談のきっかけ
笑顔が溢れた2日間、屋上遊園地をもう一度

コロナ禍だからこそ地域の活性化を 地域の百貨店「伊勢丹浦和店」とのコラボ事業の支援を打診

相談者は浦和生まれの会社員。子どもの通う幼稚園でできた仲間とBBQやキャンプなどをするなかで、幼稚園の枠から飛び出した地域での活動を企画し、令和元年の冬に2日間限定の遊園地を「伊勢丹浦和店」の屋上に開園。メリーゴーラウンドやゴーカートを設置し、約4,000人が来場し、賑わった。コロナ禍では、地域の飲食店支援プロジェクトを開始。駅前の商業施設や商店、多くの地元団体に働きかけるなかで、有志を代表する相談者が当拠点に在籍するPRプランナーに相談した。翌令和3年、相談者は浦和にさらなる賑わいを取り戻すべく、地元で40周年を迎えた「伊勢丹浦和店」に、デパートの屋上を活用した事業のコラボレーションを打診する。コラボ事業のテーマは、伊勢丹の屋上に2日間限定遊園地のときの賑わいを取り戻すこと。プロジェクトは当初、3カ月限定でスタートし、このPRに際し相談者は、かつて担当したCOに再び相談を行う。

課題
デパートの屋上に新しい文化をつくり出す

明確なコンセプトを伝えることを重視 多くの利用者がリピート・拡散するサイクルを生む

昭和の時代に一世を風靡し、子どもたちが期待に胸膨らませたデパートの屋上遊園地は、少子化や消防法の変更、屋上緑化の影響を背景に、全国のデパートから次々と姿を消し、遊具を備えた屋上の数は令和5年には全国1桁に減少。さらにコロナ禍の利用制限が追い打ちをかけ、デパート業界には閉店などの暗いニュースが相次いだ。今ではデパートの屋上は、緑化やビアガーデンとしての活用が大半を占めるようになり、「伊勢丹浦和店」でも、外部の専門業社に委託するも人流自粛で閉鎖を余儀なくされ、市民にとっての憩いの場を失いかねない深刻な悩みとなっていた。相談者は過去の催事で集客イベントの実績をもつものの、人影を失った屋上に人を呼び戻すのは容易ではなく、今後継続した集客を行うには、明確なコンセプトを伝えるPRを行い、利用者にリピート・拡散され、新たなデパートの屋上文化として定着化されることが不可欠と判断した。

支援内容
メディアへのPRと口コミを狙ったSNS戦略

浦和駅から徒歩1分の都市型アウトドア空間 3カ月限定のイベントは継続事業へ

COと相談者は、「デパ地下」に対抗するパワーワードとして「デパそら」を採用。この取組の柱となるキャッチコピーを「こころ、おどる、浦和うまれの屋上解放区~デパそら~」とし、浦和から新しいデパート屋上文化の創出を誓った。テレビやラジオ、新聞やウェブメディアへのプレスリリースと、SNSでの定期発信を開始、ときには自らの足を使い地域へのPRも行った。また、他地域で「デパそら」が先行使用されていたことが判明したため、COは知財総合相談窓口とも連携し商標登録を勧め、認定登録まで伴走した。浦和駅から徒歩1分、伊勢丹の屋上にできた都市型アウトドアスペースは順調なスタートを切り、予想をはるかに超える反響があった。当初は冬季3カ月限定のイベントだったが、「伊勢丹浦和店」からも高く評価され、継続した事業化に向けて、相談者は運営会社として「ファイブフィンガーズ合同会社」を設立することになる。

支援の成果
浦和に新しい文化が生まれる

50以上の地元団体と協賛企業が参画 年間3万人を超える来場者を記録

NHKやヤフーなどでも紹介された「デパそらURAWA」は、50以上の地元団体と協賛企業を巻き込みながら、プロジェクト型の事業連携方式でこれまでにない多彩なコンテンツを屋上利用者に提供し、来場者は3カ月で1万4,000人を超えた。伊勢丹からも高い評価を受け、ほどなくして相談者と伊勢丹の間で取組の継続を決め、「デパそらURAWA」は通年事業となり、翌令和4年には相談者は夏のビアガーデン事業も受託する。「デパそらURAWA」はビアガーデンのコンセプトも秀逸だった。子どもから年配まで幅広い世代が楽しめる空間づくり。子どもたちの笑い声が絶えない、親子孫3世代がくつろぐ光景は他のビアガーデンではなかなか見られない。今では他の自治体や企業、事業者からの視察も増え、屋上の活用の新しいモデルケースとしても注目されている。「伊勢丹浦和店」の屋上には“デパそら”という新しい文化が生まれ、定着しつつある。

事例を振り返って

・求心力を高めるキャッチコピーで関係者全員の目指す方向を明確に

・周知→拡散→定着のサイクルを回転させ、一過性ではない集客を目指す

・知財総合相談窓口とも連携し、「デパそら」「ビアそら」などの商標登録をサポート

相談者の声

誰もやったことがないことを始め、新しい文化をつくるためには、言葉の力やPRが何よりも重要なポイントになると、COから教えていただきました。常に親身に対応していただき、不安だった商標登録も無事完了できました。デパートの屋上に「近場で手軽にアウトドア」ができる空間をつくるのは困難の連続でしたが、「こころ、おどる、浦和うまれの屋上解放区~デパそら~」というキャッチコピーが、目指す方向を示す求心力となりました。今やスタッフの学生たちも主体的に企画を考えてくれるようになり、名実ともに心躍る解放区として愛されています。今後はもっと多くの人たちが、気軽にイベントや事業にチャレンジできる場所にしていきたいと考えております。

支援した拠点

埼玉県よろず支援拠点

関連記事