サービスメニュー価格の改定
パートで働きながら、ハワイアンエステ(ロミロミ)を自宅と出張で松江を中心にサービスを提供するビジネスで令和3年に開業した。間口を広げて広告宣伝はしておらず、固定客に絞ってサービスを提供している。顧客層は、中年の女性であり、毎月30人程度の客の対応をしている。価格は5,500円、6500円の2つのコースを設定している。
代表者:清水 けい子
住 所:〒690-0815 島根県松江市西持田364-11
連絡先:090-1687-7736
相談者へのヒアリングの中で、事業の近況を聞き、自宅でのサービス提供における水道光熱費の増加、出張サービス提供に係るガソリン代の負担増加という悩みを聞いた。相談者自身は、ニュースで大企業の値上げはよく見るものの、ご自身の事業での値上げについては全く考えていない様子であった。
相談者のビジネスは、間口を広げて顧客を受け入れておらず(チラシなどの営業をせず、ホームページを持たず、SNSの利用も限定的)、固定客への売上となる。相談者事業の費用構造は、材料や費用が掛かるものではなく、コストを削減する余地が少ないため、水道光熱費や燃料費の負担増加をカバーするためには、売上を増加させる必要がある。売上を増やすためには、相談者の肉体的に顧客数を増やして売上を増やすことは難しく、顧客単価をあげるしかない状況であった。その一方で相談者は、値上げを行うことは顧客に対して申し訳ないという感覚を持っていた。そのため、①施術メニューの値上げ、②値上げに対する経営者マインドを改めることが課題であった。
値上げの進め方については、①競合他社の価格、顧客の目線、経営者の目標を考慮して値上額を決めること、②値上げを顧客に周知徹底し顧客が離れないように進めることを提案した。経営者のマインドについては、値上げする分の何かサービスを提供するなど、値上げに対して引け目を感じないようにアドバイスを行った。そのようなアドバイスに対し、相談者は競合の価格を調べ、顧客の大きな負担にならず、相談者自身も満足する500円の値上げを決定した。相談者は当該値上げを顧客それぞれに伝え、顧客からも納得するとの反応を得られた様子。値上げに対する罪悪感については、新たなメニューとして考案中のホットストーンを使った施術をお試しで提供することで顧客満足度を上げる対応を検討した。
固定客が30人程度のため、単価を500円上げることにより、年間で20万円程度の売上増加が見込める。値上げに対する罪悪感から行ったホットストーンを使った新規メニューのお試し提供により、顧客の新メニューの認知につながっている。そのため、オプションの追加注文という顧客単価の上昇も期待ができる。顧客満足を高めることには効果的だが、費用負担が増えて本末転倒にならない程度にすることをアドバイスしている。
相談者のビジネスは、固定客で成り立っているため、顧客が離れてしまわないように、特に顧客への事前周知や周知された顧客の反応を窺うこと等の顧客との対話を大切にしていただくことを強調してアドバイスした。また、相談者は、値上げに対して罪悪感を持っていたため、相談者が事業を継続できるだけの儲けがないと、顧客はサービスを受けられなくなることを伝え、背中を押すように相談対応をした。
顧客に周知をしたうえで値上げができたため、離れた顧客は1人だけでした。自分の体力的に顧客数を増やしていくことは難しかったため、値上げによる売上を増やすしかなかったのですが、値上げはあまり考えてこなかったし、値上げの進め方がわかりませんでした。今回、問題なく値上げをすることができてよかったです。また、常連客に対して、値上げすることは申し訳ないと思っていたため、今回よろず支援拠点のコーディネーターに後押しをしてもらえてよかったです。