自宅と併設した店舗で子育てとの両立と、安定経営を達成する美容室経営
令和2年開業。相談者は大阪で17年間美容師として勤務後、平成31年4月に阿南市に移住。県内の美容室に勤務後、自身のこれまでの経験と技術、ネットワークを最大限に活かした美容室作りを企画。3人の子どもがおり、時間的制約が多いため、自宅前に店舗を構え自身の美容室をオープンした。
代表者:谷澤 詩織(たにざわ しおり)
住 所:〒774-0044 徳島県阿南市上中町中原89-1-2
連絡先:090-3880-8700
新型コロナウィルスの影響が社会の話題になるころ、令和2年1月、阿南商工会議所の定例相談会にて当拠点との面談を実施。相談者の夫の出身地の阿南市にて、美容室を開業したいとの趣旨である。3人の子どもの育児と事業を両立させるため、店舗は購入予定の新居の一画に設け、代表者名義で新築する計画。
相談者は美容業界での経験・技術はあるが、経営数値管理、複式簿記などの記帳、消費税・所得税などの実務能力が必要であった。また店舗については、自力にて建築資金調達、代表者名義で管理する方針であり、金融取引、担保設定などの知識と支援が必要と判断。具体的には、金融機関との交渉・資金調達申込の手法、合理的な担保設定の知識について支援を実施。開店後の販売促進、知名度の向上策については、相談者の店舗・顧客イメージは豊富であり、SNSの活用経験もあるため、販促の下地は充分と判断した。
まず固定費、変動費の考え方は表計算ソフトを活用し習得。次に生計費を固定費とし、客単価、客数、必要売上高という数値制御の手法を習得。その上で日本政策金融公庫の創業計画書を作成。資金管理、税務申告については阿南商工会議所の青色申告支援機能を紹介。新築店舗の消費税対応については当拠点の税理士COが支援を実施。また、グーグルマイビジネス、SNSインスタグラム活用を勧め、無料で運用できる簡易な形のサイトを推奨し、顧客管理アプリも導入。総合的な支援のもと令和2年秋に無店舗(訪問型)で開業し、翌年3月には店舗営業を開始。
施術者が代表者一人という時間的、肉体的制約を踏まえた上で達成可能な売上客数・単価の目論見を実施。平日、土日、閑散日などの類型、客単価などの設定によって経営シミュレーションを行い、それらを見越してタウン誌での店舗紹介等の販売促進の企画も行った。売上のブレを少なくするために、予約アプリ状況を3日ごと、1週間ごとにチェックするようにアドバイス。予約状況は順調に推移しており、予想以上の予約獲得がなされている。3日間の予定を中心として仕込み(施術準備)を行い、1週間先までの予定を見て事業を行えるという労務フローが成立している。
相談者は業界経験は豊富ということで、経営数値管理手法の習得を目指し、各種支援機関の活用方法を学んでいただきました。加えて、多く存在する競合店との販促手法の差別化を課題とし、グーグル、SNSの活用、お店アプリによる顧客エンゲージメント強化を目指していただきました。
導入したお店アプリは順調に機能し、経営にも自信がつきました。リピーターのお客様も多くできました。今後は、美容材料の原価管理にも目を向けていきたいと思います。