製品ロスをなくし原価率改善!新規顧客のシェア獲得を狙う体制へ
創業100年以上、直営店舗47店、取扱店62店の県内最大の菓子製造事業者。航空会社の機内食に採用された銘菓「月でひろった卵」が大ヒット製品。ベーカリー部門では同社のカレーパンが「カレーパングランプリ」で2度の入賞を果たしている。
代表者:坪野 恒幸(つぼの つねゆき)
住 所:〒742-0021 山口県柳井市柳井5275
連絡先:0820-22-0757
URL:https://www.kasinoki.co.jp/
創業100年以上、直営店舗47店、取扱店62店の県内最大の菓子製造事業者。航空会社の機内食に採用された銘菓「月でひろった卵」が大ヒット製品。ベーカリー部門では同社のカレーパンが「カレーパングランプリ」で2度の入賞を果たしている。
代表者:坪野 恒幸(つぼの つねゆき)
住 所:〒742-0021 山口県柳井市柳井5275
連絡先:0820-22-0757
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コロナ禍による観光客の減少や、コンビニスイーツの台頭で業績は低迷。これまで、地元金融機関から出向者を迎え、財務体質の改善に取り組んでいた。原価高騰などコスト高の状況のなかで生き残りを図るには、製造現場改善が必須である。そこで相談者は、製造業で現場経験のある専門家に支援を依頼するため、継続してアドバイスを受けている当拠点へ相談に訪れた。金融機関と当拠点COが意見交換をしながら、伴走支援に取り組むこととなった。
COはまず、財務分析から取り掛った。併せて相談者と社員に対しヒアリングを実施し、製造現場や店舗運営、管理体制などにおける課題を洗い出した。その結果浮き彫りになったのは、棚卸資産が業界平均より多く、製品廃棄ロスも増加傾向にあること、生産計画が担当者任せになっており属人化していること、生産機械の段取り替えが各個人任せになっており、人によって段取り時間が異なること、計画的な人材育成制度は採用時のOJTのみで、管理者などを育成する制度がないことであった。これらの問題をふまえ、COはアフターコロナで回復する観光客の需要に備えつつ、原価高騰が続く状況下においては、生産性の向上が喫緊の課題であると判断した。
COは生産現場に5Sを導入するよう提案。継続的な5S活動には全員参加が必要なことから、従業員へ「5Sへの取組アンケート」を実施。5Sを知らない従業員もいたが、現場の問題意識は高く「働きやすく規律ある職場」を目指したいとの意見もあった。その後、現場担当者に5Sのアドバイスを行い、各現場でチェックリストに基づく点検が自主的にできるようになった。さらに、過去実績と直近の売上動向を踏まえた売上予測づくりを提案。同予測は目標在庫数も加味した生産計画としても活用し、同社で利用。また、作業標準の作成についてもアドバイス。人材育成も考慮した目標管理型評価制度は、社会保険労務士COが継続支援を実施している。
令和3年度の売上原価率は46.8%、支援開始後、令和5年度の売上原価率は43.5%となり、3.3%の削減につながった。令和6年度は原材料・労務費単価が増え45.5%とコスト高になったが、支援前と比較するとコスト低減は維持している。生産現場の生産性を向上することで、販路拡大の余力を見出すことができた。今後は製品ラインナップの充実を図り、県内外顧客へのシェア獲得を狙うなど販売戦略を進めていく。
● 傾聴と対話で隠れた経営課題を徹底的に洗い出し
● 同じ意識を共有し納得のいく現場改善をサポート
● 多様な課題に自走できる体制や仕組みづくりを支援
当社の売上高に占める県外市場を10%から25%に高めたいと考えていた折、コロナ禍となりました。原価が高騰するなかで販路拡大を狙うには、筋肉質な企業体質が必要であり、実際に製造業の現場を知っているCOを中心とした現場改善支援により実現できました。今後はこの企業体質を維持しつつ、売上拡大を目指していきます。