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業界特性を踏まえた戦略でビジネスモデルを軌道に乗せる

地方の製造企業が下請けに留まる、アパレル業界の構造に危機感を持った相談者。 企画・デザイン力を持てば上流工程に進出できると、アパレルメーカー創業を決意する。 ビジネスモデルを軌道に乗せる鍵になったのは、業界特性を踏まえた戦略だった。

公開日: / 都道府県:福島県 業種:製造 課題: 創業

L'ANIT(ラニット)

代表者:高橋 彩水(たかはし あやみ)
住 所:福島県伊達郡川俣町鶴沢馬場8-1

地方の製造企業が下請けに留まる、アパレル業界の構造に危機感を持った相談者。 企画・デザイン力を持てば上流工程に進出できると、アパレルメーカー創業を決意する。 ビジネスモデルを軌道に乗せる鍵になったのは、業界特性を踏まえた戦略だった。

公開日:
都道府県:福島県/業種:製造/課題:創業

L'ANIT(ラニット)

代表者:高橋 彩水(たかはし あやみ)
住 所:福島県伊達郡川俣町鶴沢馬場8-1

目次

  1. 下請け工場に留まる地方の現状への危機感
  2. 前例が少なく事業計画の具体化が必須
  3. デザイナーとして創業者自身を売り出す
  4. 創業後まもなく大規模展示会での受賞

下請け工場に留まる地方の現状への危機感

アパレル業界では、企画・デザインを行うメーカーは東京に集中し、製造に携わるメーカーは地方や海外に集中している傾向がある。福島県のニット産業は、いわゆるアパレルメーカーの下請け工場に留まってしまうことが多く、企画・デザインの提案ができないのは当然のこと、海外工場との競争で低廉な下請け価格での作業を強いられている。
アパレル業界で幅広い経験を積んだ相談者は、こうした現状に地元産業が縮小してしまうと危機感を持った。この危機感を胸に、福島の地で企画から販売まで行うニットアパレルメーカーの創業を決意。そこで創業についてNPO法人うつくしまNPOネットワークに相談を持ちかけたところ、当拠点を紹介され、来訪となった。

前例が少なく事業計画の具体化が必須

まずは真摯に聞き取りを行い、福島県内のニット工場に対する危機感をコーディネーター(以下CO)も共有。相談者の目指す新しいアパレル業界の構造を理解した。
考えていたビジネスモデルは、地方の製造企業も一流の企画・デザイン力を保有して、アパレル業界の上流工程に進出。下請け工場という立場から新しい活路を見出すものであった。しかし、地方にはそのような企業は少なく、創業にかかわる関係者(製造協力工場、金融機関、行政)に、実現可能性を理解してもらう難しさがあった。そこでCOはビジネスモデルの実現性の説明を主軸とした、具体的な事業計画作成の必要性を強調した。

デザイナーとして創業者自身を売り出す

まずは、事業計画の作成支援、資金繰りの考え方、商品コンセプトの練り上げ、金融機関との交渉方法、福島県の創業補助金申請への情報提供などの支援を行った。
そして、デザイナーの知名度や評判がブランドを形成するアパレル業界独自の特性を鑑み、創業者自身のメディア露出を行い、「デザイナー高橋彩水」のブランド価値を高めていく方針を提案。
当拠点が毎年実施するアントレプレナーの創業事例発表セミナーに登壇し、各種メディアに取り上げられた。これを皮切りに、地元テレビ局での特集、金融機関の創業塾における女性起業家としての登壇、地元住民や福島県内酒蔵とコラボした新作展示会兼バーイベントの実施など、相談者の持ち前のネットワーク構築力を活かしブランドおよび創業者自身の知名度を向上させていった。

創業後まもなく大規模展示会での受賞

メディア露出を高めていくなかで、平成28年9月に東京代々木体育館で開催された全国最大規模のファッションとデザインの展示会「rooms」に展示の企画を持ち込むと、相談者の企画が見事通過し出展。地方ならではの発想で企画した展示ブースが注目を集め、出展業者約500社のうち3社しか獲得できない「亀山アワード」を受賞した。
創業後、好調なスタートを切った相談者。「何をして良いか分らず立ち止まることが無くなった。今は、次のステップに向け、やりたいことを具体化するための相談に変わりました」と、更なる発展に向け意欲を燃やしている。

支援の流れ
01
下請けに留まる現状に危機感を抱き、福島県でのアパレルメーカーの創業を決意
02
東京に企画メーカーが偏るアパレル特有の構造を踏まえ、実現性の高い事業計画づくりが必要
03
創業に合わせ、デザイナーとして相談者自身のメディアへの露出を提案
支援した拠点

福島県よろず支援拠点

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