世界初の工業用バリ取りブラシを開発大手ブラシ商社の看板商品に
相談者は82歳。これまで65年間、製造業(製鉄・工業用ブラシ)で活躍してきたエキスパート。ユーザーから新たな形状の工業用ブラシの開発を依頼されたことを契機に、約1年半をかけてねじり工程も含めた機械の開発に取り組み、世界初の機能を備えた工業用バリ取りブラシを開発。平成27年に和歌山県発明協会に知的財産の相談で訪れた際、当拠点を紹介され販売方法についての相談を開始した。
ブラシ業界では手作業での製造工程が多く、製造は職人のスキルに依存。一方で相談者が開発した商品(バリ取りブラシ)は品質を均一化し、正転・逆転でも緩みが生じない業界の常識を覆す革新的な商品。相談者は「早期にこのブラシを市場に提供し製造現場の生産性向上に役立てたい」という考えであった。そこでCoは、売上拡大に向けては「開発した機械の技術力の高さと、工業用ブラシの品質の良さを広くPRすること」を課題とした。
まずは「知ってもらうこと」が重要と考えたCoは、相談者と共にプレスリリース用資料を作成して各メディアに配布するなど、積極的なPR活動を開始。その際、「ブラシの技術そのもの」を宣伝すると同時に、「人生100年時代」「雇用創出」といった注目されやすいキーワードを折り込むことで、より話題となるような工夫をするようアドバイス。また、和歌山県内の創業ビジネスプランコンテストへのエントリーなど、PRにつながる数々の活動を提案するなどのサポートを実施した。さらに、相談者は元々直販を望んでいたが、1人で開発・製造から問い合わせ対応やアフターサービスまで行うのは難しいとCoは判断し、OEM供給に販売戦略を変更するよう助言。
機械要素技術展への集団出展で、展示会中は、相談者の高い技術力と82歳にして未だ第一線の開発者であることが話題となり、TVのニュースで取り上げられるなど複数のマスコミから取材を受け、大きな反響を得られた。平成30年には大手工業ブラシ商社との契約に成功、当初は数ある中の一商品という位置づけであったが、現在では専用カタログもできあがり、このブラシについて同社の営業担当者が勉強会を実施するまでの主力商品となっている。