事業承継後の経営ビジョンを明確にし新商品開発と販路開拓に挑戦
代表者:坂本 晴信(さかもと はるのぶ)
住 所:鳥取県八頭郡智頭町大字山根520-1
連絡先:0858-75-0758
相談者は、県内有数の杉の名産地、智頭町で製材・加工業を営む企業の前社長の坂本トヨ子氏。1997年に代表取締役に就任以来、単なる外装材・構造材だけでなく、木材の新しい用途を常に考え照明器具など付加価値の高い製品も展開している。相談者自身も地元で有名な経営者として活躍している中、相談者の長男晴信氏も専務取締役として現場の仕事や営業活動等を取り仕切るなど、手腕を発揮していた。そこでトヨ子氏は、晴信氏への事業承継(代表権の移譲)に向けて取り組んでいきたいと考え、鳥取県商工会連合会の専務理事へ相談。当拠点を紹介され、CCoが事業を承継した経験があり、建築分野についても明るかったことから、相談対応するにいたった。
CCo は双方にヒアリングした結果、事業承継への準備は十分にできていると感じ、手続き等申請面に不安は無いと判断。あとは、両者間で「継ぐ覚悟」「継がせる覚悟」が整えばすぐにでも承継が進んでいく状況であるとした。ただ、晴信氏が業務多忙によりなかなか時間がとれず、承継後の事業計画を十分に策定できていない状況も確認。そこで、CCoは、「事業承継の本質を十分に理解し意識を醸成していくこと」と「経営計画を作成し経営ビジョンを定めること」が課題と考えた。
当社はこれまで事業の多角化を行ってきていた。そこで、CCoは改めて、事業承継後の経営ビジョンの明確化を提案し、コアコンピタンスを確認する作業を行った。その結果、晴信氏は智頭町(鳥取県)で生産される良質なヒノキ材が持つ高級感・ブランドイメージを生かして新たな商品開発に力を入れていく方向性を打ち出した。また、事業承継補助金申請においては、東部商工会産業支援センターの経営支援専門員と連携しながら経営の方向性のブラッシュアップ、申請書の作成をアドバイスした。事業承継後の組織体制については、トヨ子氏、晴信氏がどのような立場・心構えで経営に関与するかの意思確認を行うとともに取締役会の構成メンバーをどうするか、なども検討した。
平成30年7月、晴信氏が代表取締役に就任。トヨ子氏は取締役会長としてバックアップするという新体制が構築できた。補助金も無事採択され、事業計画通りヒノキを使った新製品開発が実現し、本格的に販路開拓に挑んでいる。会社の経営方向性を検討したことで、収益性の低かった事業の撤退、コア事業への経営資源投入など、事業領域を再確認することもできた。若い社長の熱意と情熱が伝わり、会社全体が今まで以上に積極的な姿勢に変化している。