原材料の高騰による利益率の低下を販売価格の見直しにより大幅な利益改善を図る | よろず支援拠点全国本部

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原材料の高騰による利益率の低下を販売価格の見直しにより大幅な利益改善を図る

同社は、現在の代表者である南葉千景氏の実父が昭和36年に仕出し・会席料理店として営業を開始し、平成5年に法人化した。現在の代表は、平成22年に実父より事業承継。実父の時代に会席料理の一品として提供していた「かも鍋」が好評となり、この味に魅了された県外客からぜひ土産用にとニーズが多くあったことから「かも鍋セット」として販売。現在では、なんば商店=かも鍋として鳥取県内はもとより全国へと口コミ等にて広がり、リピーターは2,000人を獲得。当店の8割は先代からの顧客で、その顧客の7割が50代以上であり、県内4割、県外6割である。お歳暮の時期の11月~2月は繁忙期となり、冬場の贈答品として「なんば商店のかも鍋」は定着し、安定した人気商品である。

公開日: / 都道府県:鳥取県 業種:製造 課題: 価格転嫁

有限会社なんば商店

代表者:南葉 千景
住 所:〒689-4233 鳥取県西伯郡伯耆町二部662
連絡先:0859-62-7162
URL:https://kamo-danran.com/

同社は、現在の代表者である南葉千景氏の実父が昭和36年に仕出し・会席料理店として営業を開始し、平成5年に法人化した。現在の代表は、平成22年に実父より事業承継。実父の時代に会席料理の一品として提供していた「かも鍋」が好評となり、この味に魅了された県外客からぜひ土産用にとニーズが多くあったことから「かも鍋セット」として販売。現在では、なんば商店=かも鍋として鳥取県内はもとより全国へと口コミ等にて広がり、リピーターは2,000人を獲得。当店の8割は先代からの顧客で、その顧客の7割が50代以上であり、県内4割、県外6割である。お歳暮の時期の11月~2月は繁忙期となり、冬場の贈答品として「なんば商店のかも鍋」は定着し、安定した人気商品である。

公開日:
都道府県:鳥取県/業種:製造/課題:価格転嫁

有限会社なんば商店

代表者:南葉 千景
住 所:〒689-4233 鳥取県西伯郡伯耆町二部662
連絡先:0859-62-7162
URL:https://kamo-danran.com/

目次

  1. 現状
    原材料の値上げ
  2. 課題
    現状分析と損益分岐点の把握
  3. 支援内容
    商品別の原価計算の見直しと目標粗利の設定
  4. 支援の成果
    今後の販売戦略

現状
原材料の値上げ

初回相談は令和4年8月30日、南部町商工会(伯耆町商工会)の紹介で個別相談時に対応した。初回の相談内容は、値上げをしたいがどのくらいの値上げをしたら良いのかといった相談であり、具体的な事業内容に関して、決算状況、部門構成、品種構成、商品構成、ABC分析、販売チャネル、取引条件等のヒアリングを行った。

課題
現状分析と損益分岐点の把握

現在の事業規模は年間約3000万円弱で、鴨肉製品5種類で全体の90%の売上構成を占めておりチャネル戦略は主にBtoCである。特にかもなべセット4,550円(現在は5,590円)は全体の35%の粗利を占める人気商品である。しかし、高齢化と共に個人顧客数は減少し、今後も減少が予想されており顧客獲得は大きな課題である。また、売上対策としては卸売部門の強化は一つであるが、現状の販売価格設定では粗利益率が経営上合わないため、大幅な販売価格の見直しが必須である。また、販路開拓については、産直ギフトの口座開設が簡単で在庫リスクが少ないのでお勧めであるが、まずは主力のBtoCから進める様にアドバイスをおこなった。現状の課題としては①精度の高い原価率の把握①経営上、適正な上代設定などで、値上げに関しての考え方、今後の進め方を説明し、まずは現状分析を行うよう提案を行った。今後の進め方としては①現状把握→②課題設定→③原価計算→④目標設定→⑤販売価格の見直し→⑥収支計画の作成で進めていくこととなった。

支援内容
商品別の原価計算の見直しと目標粗利の設定

<原材料の値上げ・高騰>
原材料の値上げに関してはウクライナ情勢の影響による飼料、包装資材、運賃の価格高騰など多岐に渡り、その分析に関しては、品種別、商品別の前年実績を元にABC分析を数、粗利、売上別に集計し商品別の実績を客観的に把握を行った。また、原価計算に関しては計算シートを提供し再度原価計算を行った。
鴨肉、その他材料、調味料など全体で約7%の値上げ率である。原価率を元に販売価格の見直しに関して下記の試算表を提供し商品別の販売価格変更のシミュレーションを行いながら前年実績を元に値上げ後の原価率、粗利率、販管費、営業利益などの試算を行った。

支援の成果
今後の販売戦略

値上げ後の状況に関しては、令和5年3月宮城県内の大手養鶏場2社で鳥インフルが発生し鴨が全滅、また千葉県の大停電で孵卵場2社が停電の影響でヒナが亡くなるなど国産鴨肉が品薄となり一部輸入鴨肉に切り替え対応したが売上高は前年を下回った。粗利に関しては2%ほどの改善となってはいるが令和6年に関しても不透明な状況で今後に関しては輸入鴨肉の構成比の増加も視野に検討を行っている。具体的には、既存顧客向けの商品案内時のチラシへの工夫(商品情報、二次元バーコード、リピート購入)による購入率対策や、新規顧客向けの自社サイト、SNSでのブランドPRの強化、製造設備の新規導入による製造ロットの見直し、生産性向上の実現に向けた業務用の機械を導入による製造コストの削減等に取り組んでいく。

事例を振り返って

支援に際してのポイントは個人顧客の減少は今後も続くと思われ、値上げによりさらに顧客を失う恐れがあることが想定される。事前に顧客向けの案内文を郵送し値上げへの理解を促すと共に新規顧客の獲得に向けたPR活動に関しても同時並行で進めていく必要があった。また、県内の百貨店などから取引依頼があったが元々高い原価率の為(平均55%)卸販売は勧めなかった。

相談者の声

当社製品の原材料や包装資材等の値上げをきっかけに、商工会経由にてよろず支援拠点に相談をしました。「いくら値上げをするのか?」ではなく、「いくら利益を出したいのか?」という山本COの指導のもと、今回原価計算の見直し、販売価格の見直しができました。アドバイスをいただいたことで、まず原価計算を日頃からおこなう習慣がつき、利益確保に繋がり、売上が減少しても黒字化となっています。鴨肉の仕入に伴う様々なリスクは今後も予想されますが引き続き相談しながら進めていきたいと思います。

支援した拠点

鳥取県よろず支援拠点

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