データに基づいた価格交渉資料と粘り強い交渉で価格転嫁を達成
2年前、製造業の豊富な経験と知識を活かし、製造組立の下請け専門メーカーを設立した。小モノから中モノの様々な業種・型式に対応する製品組立・加工を得意とし、主に半導体関連部品の製造・販売会社と取引を行っている。現在は、各種ケーブルの保護ケース組立を手がけている。開業初期、令和3年以降の半導体不足による影響で受注量が減少し、厳しい状況にあったが、近年受注は回復傾向にある。しかし、エネルギー価格と人件費の高騰が利益を圧迫しており、価格転嫁による利益確保に努めている。
代表者:薄井 一憲
住 所:栃木県那須郡那珂川町小川3069-2
連絡先:0287-82-7141
2年前、製造業の豊富な経験と知識を活かし、製造組立の下請け専門メーカーを設立した。小モノから中モノの様々な業種・型式に対応する製品組立・加工を得意とし、主に半導体関連部品の製造・販売会社と取引を行っている。現在は、各種ケーブルの保護ケース組立を手がけている。開業初期、令和3年以降の半導体不足による影響で受注量が減少し、厳しい状況にあったが、近年受注は回復傾向にある。しかし、エネルギー価格と人件費の高騰が利益を圧迫しており、価格転嫁による利益確保に努めている。
代表者:薄井 一憲
住 所:栃木県那須郡那珂川町小川3069-2
連絡先:0287-82-7141
3年前に工業品の製造・組立加工を行う創業相談で初めて当拠点を訪れ、会社設立後、商品開発から販路提案、知的財産など多岐に渡る相談で活用している。令和5年に入り、原材料費、人件費の上昇、エネルギー費用の増加などコストが増大し、価格転嫁の必要に迫られた。この問題を解決するため、取引先との価格交渉を行う資料作成について今回の相談に至った。その後、当拠点の「良好な取引と価格転嫁のポイント」のオンラインセミナーも受講した。
創業から間もないため、取引先は1社に依存する状態である。現在、取引先を増やし、1社依存のリスクを軽減する戦略を進めている。また、自社製品の開発にも取り組んでいる。開業初期は、令和3年以降の半導体不足が原因で受注が減少し、赤字経営となった。しかし、近年受注は徐々に回復傾向にあり黒字化が見えてきた。しかし、新たな課題として、エネルギー価格の高騰と人件費の上昇が利益を圧迫している。この課題に対応するため、価格転嫁を通じた利益確保に努めている。直近では、新規取引先から新製品に関する仕事の依頼があったが、提示された目標金額はエネルギーの高騰や労務費の上昇を考慮すると困難な状況であった。そこで、価格交渉のための資料を作成し、価格転嫁を受け入れてもらう取り組みを行い、適正価格での受注確保を目指している。
価格交渉の支援方針として、具体的なコストデータの収集と新製品の原価の透明化に重点を置いた。このアプローチにより、価格設定の透明性を高め、取引先に対するコスト増加の正当性を明確に伝える方法を案内した。また、自社製品やサービスの独自価値を前面に打ち出し、価格以上の価値提供を訴える戦略を提案した。事前の準備として、交渉に臨む際の受け入れ可能な条件の範囲を定めることも重要である旨をアドバイスした。さらに、相談者は当拠点が開催したオンラインセミナー「良好な取引と価格転嫁のポイント」に参加し、価格交渉に関する幅広い知識を深めた。これらの支援を基に、相談者は「適正単価交渉資料」として情報をまとめ上げた。このような体系的な準備と知識の習得により、相談者は価格交渉を有利に進めるための基盤を築くことができた。
「適正単価交渉資料」を基に、取引先との粘り強い交渉を行った結果、価格転嫁の内容について理解を得ることができた。資料には原価計算に基づく加工単価、作業工程の問題点・課題及びその解決策の取り組み、その他経費の上昇分が詳細に記載されている。交渉の末、取引先の目標価格に対して満額ではないものの、160%の単価上昇で合意に至った。この成果は、十分な準備と粘り強い交渉によって達成されたものである。
支援のポイントとして、①コスト構造とコストデータを明確にし、価格設定の透明性を高めること、②顧客の立場に立って単に価格を下げるのではなく、生産性を上げ価格低減の努力を示すことに焦点を当てた。気をつけたことは、一方的な条件提示ではなく、双方にとって受け入れることができる条件を見つけるために、忍耐力を持ち、焦らずに適切な結論に達するまで交渉を進めることが重要である旨をお伝えした。
「よろず支援拠点」の支援により、価格交渉における知識は大きく広がりました。製品に関わるすべての費用を具体的な数字で提示することができるようになり、これは交渉の透明性を高める上で非常に有効でした。さらに、自社の生産性向上への努力を示すことで、価格交渉における立場をより強くすることができました。