活性化協議会と連携し価格交渉を通して事業再生と事業承継を同時に達成 | よろず支援拠点全国本部

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活性化協議会と連携し価格交渉を通して事業再生と事業承継を同時に達成

都内でプラスチック製造加工業を終戦直後から営み、現社長は2代目で82歳。取引先は多岐に渡るが主に大手と取引。自動車・装置産業・ベアリングメーカー等の主要な部品に活用され顧客の商品ごとのニーズに細かく応えてきたことで業績を拡大。一方、商品点数が膨大になり小ロット極少生産対応が多く、生産管理面でも煩雑になり納期遅れが慢性化。事務所は社長宅の都内にあり工場は千葉。工場は息子の副社長が切り盛りし、営業は社長が電話で請けて価格・納期を一人で決めている。経理は社長の姉が長年一人で仕切ってきた。

公開日: / 都道府県:東京都 業種:製造 課題: 価格転嫁

非公開

住 所:非公開

都内でプラスチック製造加工業を終戦直後から営み、現社長は2代目で82歳。取引先は多岐に渡るが主に大手と取引。自動車・装置産業・ベアリングメーカー等の主要な部品に活用され顧客の商品ごとのニーズに細かく応えてきたことで業績を拡大。一方、商品点数が膨大になり小ロット極少生産対応が多く、生産管理面でも煩雑になり納期遅れが慢性化。事務所は社長宅の都内にあり工場は千葉。工場は息子の副社長が切り盛りし、営業は社長が電話で請けて価格・納期を一人で決めている。経理は社長の姉が長年一人で仕切ってきた。

公開日:
都道府県:東京都/業種:製造/課題:価格転嫁

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住 所:非公開

目次

  1. 現状
    再生計画が進まなければ廃業しか道が残されていない
  2. 課題
    簡単な現状分析でも自社の経営課題は自ずと診えてくる
  3. 支援内容
    価格交渉とは取引先とのWin-Winな関係性を築き深化させる事
  4. 支援の成果
    本当に別の会社になり夢が語れる喜びを実感

現状
再生計画が進まなければ廃業しか道が残されていない

資金管理を長年、実姉一人に任せて資金繰りが厳しくなるたびに安易な借入を増やす。社長は長年の勘で価格や納期を決めてしまい採算性を考慮することが無く売上重視のタイプだった。事務所・工場敷地の担保力が高かったため気づけば限度額まで借入し返済も滞り、期失となって遅延損害金が売上の数倍に膨らむ。その段階で会計事務所の助言で活性化協議会に相談を申し込む。活性化協議会では第二会社方式での再生支援を提案するが残存会社の収益改善のために価格交渉が必要と判断して「よろず」に相談が入る。

課題
簡単な現状分析でも自社の経営課題は自ずと診えてくる

窮境要因について、活性化協議会では①経理担当の社長の姉の杜撰な管理、②工場敷地や姉の自宅を担保に安易な借入を続けた、③原価管理などを行っておらず顧客の言うままの価額で受注が続いていた、等と分析。そこで第二会社方式で膨らんだ遅延利息金を放棄してもらい残存会社が元本返済を行うために先ずは価格を改定する事が必要。①と②については活性化協議会で整理をつけて③の原価管理を会計事務所と副社長が行う予定だったが、どうやってやればいいか分からず時間ばかり過ぎる。また、社長は価格を上げると転注や減注になるので頑なに抵抗。そこで副社長と会計事務所が社長には内緒で活性化協議会と同行でよろずに来訪。ヒアリングの結果、①大手上場企業5社の取引で売上の8割を占めていること、②何年も発注の無い金型が山積み状態で無駄な倉庫代が発生していること、③取引先の価格決定権を持つ担当者を知らず、普段、社長が電話で請けている先は発注担当で価格交渉する相手ではないこと、④社長は持病があって入退院を繰り返し日々の業務に支障をきたしていること、が判明。

支援内容
価格交渉とは取引先とのWin-Winな関係性を築き深化させる事

早急に事業承継を行う事を前提に副社長に営業(価格交渉等)を実践させ新会社をスタートさせる方針で活性化協議会と連携して支援を行う。会計事務所と共同で主要5社にコンタクトを取って訪問し価格改定の意向を伝えることから始める。交渉の手法は①エビデンス等は用意せず書面で「雇用の維持」と言う切り口で全体的に2割アップ。受注量が多い商品は3割アップとする、②値上げ時期を翌期前(期末が9月だったので7月納入分からの改訂)③動いていない商品の金型処分(引き取ってもらうか有償で処分する)の提案、④余裕を持った納期での提案、⑤5社以外の取引先は価格改定の通知を送達して同じく7月から変更や金型の取り扱いを伝えさせる。細かいエビデンスは不要と言う事や社長が金型を保持する考えであったことなど、よろずからの提案内容に安心と納得感を得た様子でその後のアクションが早かった。活性化協議会とも価格改定後の想定PLも作成しつつ社長に提示。各社から価格改定を概ね受け入れることや引き続き受注を受けて欲しい要請の文書もはいってきたことで副社長は安堵と自信を得て社長に事業承継について打診するまでになる。

支援の成果
本当に別の会社になり夢が語れる喜びを実感

売上額は2割アップ。金型が大量に処分できたことで自社の倉庫で納まり、借りていた倉庫代もなくなり収益が劇的に改善。金融機関に対しても予想PLで十分な返済原資が出る事を示せたことや代表者交代もあり第二会社方式で再生計画が進められるようになった。経理担当は会計事務所から出向でしばらく対応してもらう等、新たな採用と賃金アップも可能になった。今後は活性化協議会でフォローアップを行いつつ生産管理についてもよろずで引き続き相談対応を行う予定。

事例を振り返って

先ずはバイアスを取り除くことから始める。価格交渉は値上げ交渉ではない、お互いのパートナーシップをより深化させるコミュニケーションであること。社長が危惧しているような転注・減注を恐れる「下請け体質」の意識の払拭。その気持ちを以て互いのメリットを最大化する交渉を行うこと。また価格改定後に納期遅れがあっては信頼が無くなるので受注の選別や生産管理の手法についてもアドバイスを行い交渉後の自社の体制強化も必要であることを説明する。

相談者の声

現場の事しか見てこず毎日暗澹たる想いでしたが、今回初めて「経営」と言う視点で自社全体を見つめ直し希望を持てるようになりました。国の支援機関が連携してここまで考えて対応してくれた事を無駄にしないよう、これからも会社経営を良くする努力を続けていきます。また同業の仲間にも活性化協議会やよろずの事を教えてあげたいと思いました。

支援した拠点

東京都よろず支援拠点

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