想いとブランドに基づいたロゴで商品価値を上げ、売上約60%アップ
ブランド力を高め、直販の比率を増やそうと考えた相談者。平野部で育てられることの多いアスパラと差別化した「森のアスパラ」というブランドを確立し、Webサイトを含め販売をスタート。他の産地よりも、高い金額で売れるようになった。
相談当時の同社の取引状況は、スーパーへの直卸が2店舗、飲食店が2店舗、残りをJAに卸している状況で、約4割がJAだった。今後ブランド力を上げて直販の比率を増やすために、ネット通販にも取り組もうと考えていたところ、6次化産業の打ち合わせで訪れていた佐賀県産業支援センターで当拠点を知り、その日のうちにネットでの販売方法やブランド力の向上について当拠点に相談した。
ブランド力向上とネット販売を始めるにあたり、当時の状況や今後の展望をヒアリングするうえで、次のような課題があった。①そもそものブランド名や屋号が定まっていないこと、②商品の魅力が買い手にしっかりと伝わっていないこと、そして③競合商品との違い・自社商品の強みを明確にしたコンセプトがないということが明確になった。
そのため、ネット販売の支援を行う前にネーミングを含めた「ブランド構築」が最優先と判断。ブランド構築と広報戦略を鷹巣コーディネーター(以下CO)が担当し、その後「ネット販売」を水町COが担当することとなった。
COはまず、ブランド構築に関して、自社の強みや魅力を表現した屋号とブランド名を決めることを提案した。自分たちで考えた複数の屋号から「A-noker」を選び、ブランド名を「森のアスパラ」とした。さらにブランドのキャッチコピーを「佐賀多良岳 果樹園育ち」とし、平野部で栽培されることの多いアスパラとの対比を明確にすることで、他との差別化を図った。その後、ネーミングとキャッチコピーのコンセプトに沿ったロゴデザインを作成し、パッケージや段ボールなど様々なツールに統一したデザインを組み込むようブランドイメージ構築へ向けたロゴ・キャッチコピーの運用方法を助言した。
そして、Webサイトの構築・ネット販売への提案が始まる。まずは自分たちでWebサイトの構築・管理ができ、リアルタイムで情報が発信できるような仕組みを伝えた。スマホからWebサイト観覧時にもストレスなく情報が到達しやすいことや、定期的にアクセス解析データを確認し、サイト改善を行っていくことなどWeb運用において必要な知識や販売ショップを提案した。これらCOの提案や支援を受けながら、相談者自らWebサイトやオンラインストアのページを制作し、アスパラガスのネット販売へと至った。
ブランドコンセプトが明確になったことで、広報活動が効率的に実を結び「森のアスパラ」といえば「A-noker」という認知度が向上。相談者は、当拠点に相談したことで、製品や産地に対する想いを込めたロゴができ、関東圏で勝負できる自信につながったと語る。また、関東圏のスーパーでは、「森のアスパラ」ロゴが印刷された個装デザインが好評で、他の産地のアスパラガスよりも高価格で売れているという。
結果、天候不良で収穫高が4割減の状況にもかかわらず、売上約60%アップ、キロ単価約35%アップを達成する見込みとなり、通常の収穫高だとさらなる売り上げアップが期待できるようになった。