小ロットのOEMを主軸に事業を展開、前年比107%を達成
ブームが去り、主力商品のもろみ酢の売上げが半減。売上げ立て直しの軸になったのは、今後大きな売上拡大が見込めないもろみ酢ではなく、生産設備。OEM受注メーカーとして舵を切り、苦境を乗り越える。
主力商品である、もろみ酢の売上げはブーム時は良かったが、これをピークにブーム時の半分以下まで減少。売上げの減少対策や資金繰りの改善のために何をすれば良いかわからなかったため、原価率を見直したいので財務諸表を見てアドバイスをもらい資金繰りの改善につなげたいと思い当拠点へ相談に至った。相談者には、短期運転資金の調達に関する助言が欲しいという要望があった。
健康酢の中でもろみ酢は絞り込まれた市場での持続性はあっても、かつてのブーム時のように大きく売上げが伸びることは予想しがたい。相談者のもろみ酢関連商品での売上回復は市場の状況からも見通しにくく、財務諸表からも売上げの低迷により経営状況はかなり厳しいと思われる。財務状況の改善は喫緊の課題であると、ヒアリングや調査を通じで確信。金融機関の協力を仰ぎ条件変更と追加融資が必要であると判断した。
一方、50mlの小瓶から1Lの大瓶だけでなく、ペットボトルやスタンドパウチなど様々な容器やサイズに対応し、粘性の強いジュースや素材を活かした調味料製造にも対応できる製造技術と品質管理の体制が整備された生産ラインは、経営資源として活用できることもわかった。県内食品メーカー等は、工場はあっても自社の生産ラインで対応できないケースや工場を持たない販売者も数多く見られる。小ロット生産を受託できるOEMメーカーは少ないため製造委託したい企業は受注先を探すのに苦慮している。相談者の強みである生産設備をベースにサービスの充実化を図り、PRができるのであれば一定規模の受注可能性は十分あると思われた。これらのことから、小ロットから柔軟に対応できるOEM受注を収益事業の主力にしていくことで経営改善を図っていく事業計画の作成を支援していくこととした。
当拠点のコーディネーター(以下CO)が行った提案としては、まず、資金繰り表の作成と、売上拡大策を立てるようアドバイスを行った。強みとなるOEM受注展開のための営業ツールやプレスリリース、Webでの情報発信を実施し、新規・見込み顧客への営業を厚くするよう提案。また、リスケの実施と資金調達実現のめどが立った時点で、計画を実行し、しっかりと再建に取り組むよう指導した。
提案を受けて相談者は、事業計画書の作成とともにOEM受注を軸とした事業計画書を作成。営業ツールやプレスリリース、東京や県内での商談展示会、ホームページの改良などで情報を発信しながら、見込み客とも面談を行った。また、経営サポート会議を開催し、リスケを要請。短期的に運用資金を確保することができたが、産業まつりに合わせ、仕事をとっていくなど精力的に活動した。
沖縄県信用保証協会が主催する経営サポート会議において、計画の実現可能性について当拠点が実効性を助言、サポート体制を説明することができた。その結果、リスケの実行と共に金融公庫と地銀の協調で融資が決定した。短期的とは言え資金繰りが改善しているうちにOEM受注を拡大して収益を上げていくことを狙った。見込み客との面談などを行い、新規で13社から受注した。他の紹介企業とも商談継続中であり成約の可能性が高い。ホームページが改良できたことで、SNSを活用したPRにも前向きになった。今年度の売上げは前期比107%で改善している。