債務超過という厳しい状況のなかSCCOの手厚い支援を得ながら経営再建の道筋をつくることに成功 | よろず支援拠点全国本部

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SCCOの手厚い支援を得ながら経営再建の道筋をつくることに成功

債務超過という厳しい状況のなか
SCCOの手厚い支援を得ながら経営再建の道筋をつくることに成功

相談者である社長は72歳。製菓・製パン材料の卸問屋に定年まで勤め上げた。61歳で一念発起して会社経営を志し、平成25年に沖縄県内の老舗ケーキ店を買収し、計5店舗の経営に乗り出した。しかし、いずれも売上が低迷していたことから経営は苦戦の連続。このような状況のなか、経営改善に着手し、赤字店を閉鎖した。さらに製造原価を見直し、卸販売やホテルなどのOEM(他社ブランド製品の受託製造)受注で収益性を高めた結果、5期連続の黒字となっている。なお、社名のハッピーフィールドとは、相談者名である「福原」を英語に置き換えたことに由来。

公開日: / 都道府県:沖縄県 業種:製造 課題: 経営改善・事業再生

株式会社 ハッピーフィールド

代表者:福原 英一(ふくはら えいいち)
住 所:〒901-2212 沖縄県宜野湾市長田4-5-1
連絡先:098-996-7503
URL:http://happyfield-chinon.com/corp/

相談者である社長は72歳。製菓・製パン材料の卸問屋に定年まで勤め上げた。61歳で一念発起して会社経営を志し、平成25年に沖縄県内の老舗ケーキ店を買収し、計5店舗の経営に乗り出した。しかし、いずれも売上が低迷していたことから経営は苦戦の連続。このような状況のなか、経営改善に着手し、赤字店を閉鎖した。さらに製造原価を見直し、卸販売やホテルなどのOEM(他社ブランド製品の受託製造)受注で収益性を高めた結果、5期連続の黒字となっている。なお、社名のハッピーフィールドとは、相談者名である「福原」を英語に置き換えたことに由来。

公開日:
都道府県:沖縄県/業種:製造/課題:経営改善・事業再生

株式会社 ハッピーフィールド

代表者:福原 英一(ふくはら えいいち)
住 所:〒901-2212 沖縄県宜野湾市長田4-5-1
連絡先:098-996-7503
URL:http://happyfield-chinon.com/corp/

目次

  1. 相談のきっかけ
  2. 課題
  3. 支援内容
  4. 支援の成果

相談のきっかけ

持ち前の企画力でヒット商品を生み出すも増産に必要な設備の資金調達に苦戦

相談者は、地域に貢献したいという思いから、赤字の老舗ケーキ店を買収した。事業の建て直しからスタートしたものの、その道のりは想像以上に険しいものであった。赤字経営が続き、業績がさらに悪化した結果、買掛金の未払いや金融機関へ延滞が発生し、金融機関からサービサーと信用保証協会へ代位弁済に至ってしまった。こうしたなか、相談者は採算の見込めない2店舗を閉鎖、ホテルで需要が高まっているOEMの開拓などにも取り組んだ。その結果、減収となりつつも増益を果たした。相談者は商品の企画段階から提案を行い、ヒット商品を次々に生み出すことで、付加価値の高いビジネスモデルを構築。売れ筋の一つである「シーサークッキー」は、国際通りのクッキー専門店に一日当たり5,000個を卸している。「会社勤めの当時、ホテル業界に人脈を築いていたのが強み。また、コロナ禍で菓子職人が減るなか、ホテル市場は参入のチャンスがあると判断しました」(相談者)。経営再建の見通しがつき始めた頃、注文増に応えるために生産能力を増強する必要が生じたことから設備投資が不可欠となった。しかし、この時点で同社は3期連続の黒字を達成してはいたが、金融機関からの借入は難しく、サービサー担当者の紹介で当拠点へ相談に訪れた。

課題

現金仕入れを強いられるなか資金繰りがさらに悪化した状況

相談を受けたSCCOは決算書の内容を精査。債務超過ではあったものの、4期連続で黒字が確実という財務状況を踏まえて、経営再建が可能と判断した。相談者は「新工場への移転と機械設備投資の実施」をと考えていたが、そのためには、金融機関の支援が必須であった。しかし、サービサーによる代位弁済があったことなどから、このままでは新規融資は難しい状況であった。SCCOはこうした状況を踏まえ、まずは代位弁済されている債権の正常化が最優先と判断。信用保証協会から求償権消滅を行うための条件を確認しながら、県内の他の支援機関と今後の取組について協議するよう相談者に提案した。協議を重ねた結果、沖縄県中小企業活性化協議会の専門家が改善計画書の策定に取り組むなどして、求債権を消滅させて通常融資への転換を目指すことになった。「私が着目したのは、相談者がコロナ禍で黒字決算を達成したことでした。また、相談者が経営再建のために多額の自己資金を出していたことから、経営者としての覚悟が感じられ、何とか再建を支援したいという思いを抱いていました」(金城SCCO)

支援内容

相談者の真摯な思いに応えたいとSCCOも支援機関との協議に奔走

求償権を消滅させ新規融資を得るとなると、金融機関の理解を得るのは簡単ではない。また、仕入れ先の買掛金が長期未払いであったため仕入れは現金決済のみとなっていた。取引正常化のための資金と経常的な運転資金を合わせると融資額が大きくなり、調達のハードルが高くなる課題も抱えていた。相談者は、SCCOのサポートの下、バンクミーティングで足並みが揃わない課題について、各金融機関、支援機関と個別に交渉を重ねた。「最初は立て直しスキームの構築に臆していた機関もありましたが、『アイデアマンの社長が頑張って成果を上げているので応援してほしい』と私も力添えしました。その結果、交渉が進みました。当拠点をはじめ、金融機関や信用保証協会などの支援機関が『オール沖縄』で支援することになり、成果につながりました。また、私自身、過去に劣後ローンの案件を手がけた経験があったことも役に立ちました」(金城SCCO)。SCCOは設備投資の資金調達のほか、生産量が増えていることから、製品の品質管理も重要と判断。そのため、中小機構の支援メニューを活用して食品菓子メーカーで実績のある専門家のサポートを仰ぎ、品質向上に向けた仕組みづくりを支援した。

支援の成果

支援機関との粘り強い交渉の末既存債務の整理と新規資金の調達に成功

交渉を重ねた結果、沖縄県中小企業活性化協議会の専門家による改善計画書をもとに、信用保証協会とサービサーがもつ求償権を消滅させ、通常債務に戻すことができた。また、民間金融機関と同協会の再生保証制度の活用を通じて、OEMの受注拡大に向けた設備投資の資金を調達することができた。さらには、沖縄振興開発金融公庫の資本性劣後ローンの活用により、既存債務の整理と新規資金を調達した。実に1年半以上の粘り強い交渉の末にまとまった再建スキームである。これまでの取組の成果として、新工場の改装および新規機械設備の導入が実現した。当拠点による財務強化に向けた伴走支援をはじめとして、さまざまな機関の協力を受けて、相談者は経営再建への意欲を高めている。債務超過については3年以内で解消できるめどがついている状況。さらに、経営改善計画が着実に進むなか、事業承継に向けた取組も始まっている。「すでに次の社長候補者が入社し、経営の要諦を学んでいる段階です。また、現行の3店舗ともに責任者が育っていて、いずれはそれぞれ独立させて事業の発展を目指してもらうことが私の夢です」(相談者)と、将来の抱負を語っている。

事例を振り返って

● 求償権消滅(代位弁済債権から通常融資)を行うための要件の整理実行に向けたスキームの組み立て
● 沖縄県中小企業活性化協議会はじめ信用保証協会や民間金融機関沖縄開発振興金融公庫などとの連携支援の調整

相談者の声

これまで仕入れの支払いが現金決済のみで毎月の資金繰りに困っていたなか、資金調達ができたことで長期未払金を精算し、通常の買掛取引に戻すことができました。次のステップとして、店舗の老朽化についての対応の見通しが立ちました。日々の資金繰りの苦労から脱して、明るい未来を描けるようになったことで、経営に前向きに取り組んでいます。今後はこれまで苦労をともにした従業員に報いていきたいと考えています。よろず支援拠点の皆さまには心より感謝を申し上げます。

支援した拠点

沖縄県よろず支援拠点

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