事業承継を見据えた価格転嫁による工賃適正化
空調機器部品の(電子部品やハーネスの組立作業、シール貼付業務から樹脂や板金部品)加工、組立、梱包、納品までを一貫して行う事業を行う組立製造業である。平成9年に津山市川崎で創業以来、その技術力と信頼性を高め、令和4年には事業拡大を背景に志戸部に第二工場を設立した。従業員数は14名であり、職人の手による細やかな作業によって実現する、ロボットでは成し得ない品質対応力が当社の強みである。この強みは、顧客からの特殊な要望にも柔軟に応える能力として現れており、細部にわたる品質の追求と顧客満足度の高さが同社の競争力の源泉となっている。
代表者:木下 正造
住 所:〒708-0841岡山県津山市川崎1698
連絡先:0868-26-0761
空調機器部品の(電子部品やハーネスの組立作業、シール貼付業務から樹脂や板金部品)加工、組立、梱包、納品までを一貫して行う事業を行う組立製造業である。平成9年に津山市川崎で創業以来、その技術力と信頼性を高め、令和4年には事業拡大を背景に志戸部に第二工場を設立した。従業員数は14名であり、職人の手による細やかな作業によって実現する、ロボットでは成し得ない品質対応力が当社の強みである。この強みは、顧客からの特殊な要望にも柔軟に応える能力として現れており、細部にわたる品質の追求と顧客満足度の高さが同社の競争力の源泉となっている。
代表者:木下 正造
住 所:〒708-0841岡山県津山市川崎1698
連絡先:0868-26-0761
相談者は、現在の工場が手狭となったため、新規受注の獲得と事業拡大を見越し、工場の新設を検討しており、工場新設にあたって「購入」か「賃貸」がどちらにするのかといった事業計画の策定と「購入」「賃貸」の場合のシミュレーションを行い、どちらがよいのか判断したいとのことで、金融機関からの紹介により来訪された。
金融機関担当者同席のもと、代表者から事業内容・現状のヒアリングを行い、持参いただいた直近3期分の青色申告決算書により財務状況を確認。その後、代表が考える将来の展望を伺ったが、工場を新設することは概ね決まっているものの物件が決まっておらず、精緻なシミュレーションができない状態であった。さらにヒアリングを継続しながら事業計画の策定のアドバイスを行っていったところ、「円滑な事業承継」や「売上依存からの脱却」「工賃の適正化」等、さまざまな課題が浮かび上がってきた。そこで今後の事業承継者となる実子の同席のもと、事業計画を策定する運びとなった。優先順位の高い課題としては「工賃の適正化」が挙げられる。具体的には、20年以上の付き合いで、売上構成比の50%程度を占める得意先との加工賃等の単価が20年変わっておらず、昨今の物価、人件費、エネルギー費の増加に対応した工賃適正化の価格交渉を進める必要がある。
価格交渉を行うにあたり「内部の状況」と「外部環境の変化」を定量的に示した資料を作成することを提案。さらに内部状況を定量的に示すため原価計算を行い時間チャージを算出するアドバイスを行った。具体的には、直接労務費と間接労務費の合計を製品製造に必要な総時間で割ることで算出することとした。また、過去20年間の岡山県の最低賃金の推移、物価・エネルギー価格の上昇等の外部環境の変化をまとめた資料も併せて用意するとし、以下の外部環境の変化根拠となる資料を共有した。
■エネルギーコストの根拠資料
燃料価格
・財務省「貿易統計」(原油・粗油CIF価格、原油・粗油及び⽯油製品CIF価格)⽯油連盟HP
・資源エネルギー庁「⽯油製品価格調査」(給油所⼩売価格調査、 ⺠⽣⽤灯油、産業⽤価格、卸価格)
・⽇本銀⾏「企業物価指数(エネルギー価格指数(⽯油・⽯炭・天然ガス等)」
電⼒料⾦
・新電⼒ネット「全国の電気料⾦単価」(特別⾼圧・⾼圧・電灯・電⼒)
■人件費(労務費)根拠資料
・都道府県別の最低賃金やその上昇率
・春季労使交渉の妥結額やその上昇率
・国土交通省が公表している公共工事設計労務単価における関連職種の単価やその上昇率
・一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃(令和2年国土交通省告示第575号)
・厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査に掲載されている賃金指数、給与額やその上昇率
・総務省が公表している消費者物価指数
・ハローワーク(公共職業安定所)の求人票や求人情報誌に掲載されている同業他社の賃金
出典:https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/romuhitenka.html
現在、資料の作成段階であり、定量的な成果には結びついていない。しかしながら、今回の相談をきっかけに、中小企業庁が定める毎年9月と3月に価格交渉・価格転嫁を促進するための「価格交渉促進月間」を利用し、工賃の適正化を継続していくことに加え、今回の相談をきっかけに財務等の数字に意識を向け安定した経営の実現を目指す。
支援のポイントとしては、次期代表候補となる実子を中心に、財務諸表の意味や各項目の関連性、原価計算の方法等の基本的な部分を、図を使いイメージやすいように工夫しながら説明を行った。また、いつまでになにをやらなくてはいけないのかを区分、優先順位をつけ、価格転嫁に向け1つ1つ着実に進めていけるよう工夫を行った。
COの皆様の親身なサポートと根気強い傾聴のおかげで、自社の方向性を見つけることができました。価格転嫁だけでなく、財務のアドバイスも大変有益でした。その絶え間ない励ましは、大きな自信に繋がりました。