「農商工連携」によるオリジナル有機醤油開発で顧客開拓と売上UPに取り組む
明治33年に創業し老舗の醤油製造・販売業者である相談者。地元の量販店等に醤油を販売する傍ら、生醤油・つゆ製品等の新商品の販売など新しい取り組みも手がけている。相談者は「自社社屋の一部(元禄年間建築)や古文書などを地域観光資源として新たな事業ができないか」と地元の地域産業振興センターを通じて当拠点に来訪。相談者は現在62歳。息子(同社勤務)への事業承継も検討しており、円滑な承継についても相談したいとの意向もあった。
Coは現地視察を行い、製造工場、隣接する家屋が地域観光資源として活用できないかを模索。中小機構が実施する地域資源活用の支援に該当するのではと考え、地域資源事業担当者を交えた面談を行った。その中で、古い経営資源の活用よりも現業の強みを生かした新しい取組みを行うほうが良いと判断。「農商工連携事業を活用した新製品開発」を課題とした。
中小機構の農商工連携事業担当のCoとも連携し、数ある候補の中から、「有機醤油」を農商工連携事業の認定を目指す最終候補として提案。同社製造部長とともに、5か月をかけて事業計画のブラッシュアップ、連携事業者の検討を行った。また一連の取組みのコンセプトを「家庭用調味料の総合展開」と位置づけ、有機醤油を基軸にした派生的な商品展開まで検討・提示した。
農商工連携事業の活用により、有機大豆・小麦を生産している北海道の農場から原料を仕入れ、補完・配送を担う連携事業者も決まった。平成29年7月から農商工連携事業認定を目指した作業を開始し、5か月後の12月に申請、平成30年2月に認定を取得。新商品の開発が完了。中小機構から派遣された専門家にもアドバイスを受けパッケージデザインも決まり、平成30年11月から受注をスタートさせることができた。今後は製造事業への支援と並行して、相談者から後継者である栄氏へのスムーズな事業承継を実現させるために、専門のCoが支援を継続していく予定だ。