従来商品の特徴に「特産品」としての魅力を加えた新商品が売上を牽引
90年以上の歴史を持つ製麺所。昔ながらの製法とオリジナルの小麦粉で、各種麺類を製造販売する。とくに「ちゃんぽん麺」については、太さや形状、製法など、長崎県内で定められた規定に基づき製造する数少ない事業所となっている。業務用麺のほか、一般家庭用勝因も展開する。
代表者:佐藤 茂樹(さとう しげき)
住 所:〒850-0047 長崎県長崎市銭座町2-1
連絡先:095-846-7164
相談者は近隣の大規模工場や飲食店を主な取引先としていたが、工場の規模縮小、飲食店の廃業などで売上が低迷。そこで令和元年に当拠点に相談に訪れ「長崎つけちゃんぽん」を開発し、さらに飲食店へ麺を卸すとともにレシピを提供。各自のアイデアを加え商品化するビジネスモデルで、取引拡大に成功した。令和4年、「西九州新幹線」が開通し、これを好機ととらえ、さらなる売上拡大、販路開拓のため、既存商品と相乗効果をもたらす姉妹商品開発の必要性を感じ、当拠点への相談に至った。
COは販売戦略において、すぐれた製麺技術をコアに、価格競争におちいらない商品の開発が必要であると考えた。既存品の「長崎つけちゃんぽん」は、家庭でも調理の手間なく、同社の麺の美味しさを味わえる商品であり、これにさらに改良を加えることを目標とした。そして新幹線開通を要因とする観光客の増加を見込み、他事業者との連携も視野に入れつつ「特産品」としてインパクトのある商品を開発し、従来品と同じく飲食店に提案営業を行いニーズの掘り起こしに努めるなどの方針を提案した。
同時期のタイミングで、130年以上の歴史を持つ鯨料理の老舗「井上商店」が同社と意気投合し、鯨をつけちゃんぽんのスープ、トッピングの具材に使うアイデアが生まれた。長崎県は古くから鯨料理の食文化があり、アイデアが実現すれば観光客に向けてPRできると判断したCOは、同社に対し「つけダレ」の開発に注力することを提案した。さらにCOは飲食店の生産効率も考慮した基本レシピの提供とオリジナルのトッピング案、料理の提供方法などについても助言し、相談者はこれをもとに提案営業を開始した。
令和4年6月の売上は対前年比120%を達成。新商品「長崎鯨つけちゃんぽん」は令和 3年度の「県特産品新作展」において、最高賞となる「県知事賞」および「農産加工品・ 酒・飲料部門 最優秀賞」を受賞。これまでに約2,000食を販売するヒット商品となって いる。さらにCOはSNSでフォローしてくれた人すべてに返信することを提案。これが フォロワー数の急増につながり、全国規模でファンを広げる原動力となった。また井 上商店と連携した営業活動も継続して行われており、販路は飛躍的に広がっている。
従来品の「長崎つけちゃんぽん」の訴求点を重視しつつ、具材やスープの新たなアレンジなど具体策を提案し、試作品の評価と改良に立ち会い、支援を続けました。鯨を用いるのは専門性が高いため、専門事業者との連携を提案したことにより「老舗同士の連携」という話題性のあるPR活動につながりました。
当社の長い歴史のなかで、今が、いちばん活気があり、消費者への周知も広がっていると実感しています。売上も好調に推移しており、今後も当地の特産品として「長崎ちゃんぽん麺」を継続して提供できるよう頑張っていきたいと思います。また連携先の事業者様、飲食店様と、地域の活性化にも取り組んでいく所存です。