生産現場の課題をステップごとに解決 経営強化に向けた道筋を立てる
1991年設立。5軸マシニング加工を中心に、宇宙航空分野のハウジング、整形外科用インプラント関連、車両関連部品、光学部品などの分野にて、試作から量産まで幅広く対応。2016年「アジアNo.1 航空宇宙産業クラスター形成特区」に参画し認定を受ける。
代表者:代表取締役 中村 光守(なかむら みつもり)
住 所:〒399-0214 長野県諏訪郡富士見町落合9433-1
連絡先:0266-62-8888
同社は、リーマンショックによる受注減少と、技術者の定年退職により、事業の縮小を余儀なくされた。経営の立て直しを図るべく地元金融機関に経営相談をした際、消耗品などの在庫管理や原価管理、受注単価設定のルールが未整備であるとの指摘を受けた。課題解決に向け、問題点の整理や改善支援の相談先として当拠点を紹介された。
同社の経営陣は、「ツール管理の未整備によるコスト増」「原価・見積や単価設定の基準の未整備」といった課題を認識していた。しかし、若手社員の採用と新たな生産機械の導入を進める必要があり、業務改善に割く時間が十分に取れない。COは、日々の業務のなかで改善を進められるように、まずは消耗工具費の適正化とモノを探すムダを排除するための“5S”に着手し、その後、原価・見積の基準づくりに取り組むように助言した。
第一ステップとして、工場内に分散している切削用刃物の棚卸しと、一括管理による在庫把握を実施した。不要物の撤去・廃棄にも着手し、各作業エリアの動線改善として治具棚の配置換えや切削屑の飛散対策などに取り組んだ。また、第二ステップとして、限界利益を明確にするため、固定費と変動費の区分けと把握を進め、この進捗に合わせて、原価・見積の基準づくりを支援した。
“5S”の推進により消耗工具の在庫量をすぐに把握できるようになり、過剰な発注が不要になり、経費を削減することができた。加工作業の必需品を探すムダな時間も削減され、生産性も向上した。また、固定費・変動費・限界利益の把握により、見積も適正化された。その結果、コロナ禍で一時は受注が低迷したものの、売上も回復するとともに、資金繰りも安定した。
工場の現状を理解しながら、同じ目線で課題を認識し、改善後の目指す姿やイメージを共有化することを大事にしています。業務内で改善を実施するため、取組ステップやスケジュ―ルは同社が立案する流れとし、そのなかで助言や提案を行いました。
親身に支援いただき、今まで何度も挫折してきた“5S”と見える化を進めることができています。消耗品の過剰購入も減り、効果も出始めています。まだまだ道半ばですが、従業員と協力し、さらに改善を進め、働きやすい職場、働きたくなる職場を目指します。