鋳物の重さを利用したケトルベルで在宅トレーニング需要を取り込み売上増加
1950年創業の、桑名の伝統鋳物「くわな鋳物」のメーカー。人手で鋳型を作る「手込み造型」で小ロット・短納期に対応するほか、迅速な顧客対応を強みとしている。近年は鋳物の重みを生かしたトレーニング器機の製造・販売も手掛け、パーソナルジム「ハードスタイルジム」も運営。
代表者:代表取締役 伊藤 允一(いとう まさかづ)
住 所:〒511-0838 三重県桑名市和泉247
連絡先:0594-22-2265
主要事業の工業用鋳物製品は採算性が低いため、同社は2016年より、収益性の高いトレーニング用器具のケトルベルの製造販売を始めた。新型コロナの影響で機械部品等の製造が大打撃を受ける一方で、フィットネスクラブの休業が相次ぎ在宅トレーニング需要が増加。この需要をうまく取り込み、ケトルベルの販売を拡大できないかと思案していた。
トレーニング用器具の需要急増を受け、同社の生産能力を超えた受注が入り、納期遅れが発生していた。また、4キロ~48キロの間の4キロ刻みで10種類のラインナップを揃えていたが、36キロと44キロの製品がなく、一部のニーズに応えられていなかった。新たな鋳型を製造するには、試作・改良を含めた工程の追加が必要になる。鋳型の増産による生産能力向上と重量ラインナップの充実、これらを実現するための資金確保を課題に設定した。
COは、売れ筋製品である16キロ及び24キロの鋳型を追加で作り増産に対応するとともに、4キロ~48キロの範囲をカバーした製品群を提供することで、他社との差別化を図る提案をした。資金的な負担を軽減するため、桑名商工会議所と連携して、小規模事業者持続化補助金コロナ特別対応型への応募を提案し、採択された。また、同社が運営するパーソナルトレーニングジムにて、オンラインコンテンツを配信することを助言した。
鋳型を増やしたことで生産能力を従来比2倍に引き上げ受注の増加を吸収。2か月でケトルベルの前年販売実績を上回った。他社製品と比しても幅広い重量ラインナップを展開することで、あらゆる顧客のニーズに対応が可能となったほか、受注が分散し生産能力の圧迫を防止するという副次的な効果もあった。今後はトレーニングに関するコンテンツ配信を行うことで、ハードスタイルケトルベルの需要拡大、受注増を図りたい。
コロナの影響がトレーニング機器の製造販売には追い風になる一方、主要な工業部品製造事業には向かい風になり相談者は当惑。いつも以上にしっかりと傾聴し状況を分析、課題を洗い出し、支援策を提示することで、冷静で的確な対応を促せた。
コロナの影響で激変する環境のなか、いつも明るく親切な対応が一番心を落ち着かせてくれた。ケトルベル事業が第二の柱になっていたので持ちこたえられている。従来事業と両輪にまで育てるような夢のあるアドバイスも受けており、ますます今後が楽しみだ。