工場改革で生産効率250%アップ オリジナル商品の展開も開始
昔ながらの製法で御朱印帳や和本を製作する山崎紙工株式会社。 昨今の御朱印帳ブームで注文数が伸びる中、生産効率向上とオリジナル商品展開に挑む。
代表者:山崎 正純(やまざき まさずみ)
住 所:京都府京都市上京区竹屋町千本東下る
御朱印帳や和本の生産・販売を行っている相談者は、自社の伝統を広く世に伝えつつ、時代のニーズに合う商品を販売することを目的に「京都紫音」ブランドの立ち上げを決意。御朱印ブームの影響で既存商品の受注は増えていたが、工場内に新規事業を始めるためのスペースが確保できておらず、生産も追い付いていないことから、作業効率の改善を必要としていた。
担当したコーディネーター(以下CO)が工場を訪問し、作業内容や工程、工場スペース、受発注方法など改善すべきポイントについて細かくヒアリングを行った。工場内のレイアウトは創業時からほぼ変わらず、現在では使用頻度の低くなった古い機械や材料で埋め尽くされ、新たな作業をするためのスペースや材料保管場所すらなかった。さらに、工場自体も小道を挟んで第一工場と第二工場に分かれており、作業動線が非効率的となっていた。
また、新商品である「京都紫音」ブランドについて、商品の特性や市場環境、対象とする客層、知的財産権取得の可能性など知財総合支援窓口の専門家とチームを組んで調査分析を時間をかけて行った。その結果生産性向上、ブランドの確立と販路開拓が必要だと判断された。
作業現場における、生産スペースの確保と生産工程の改善とともにオリジナルブランド商品の開発・立ち上げを行い、独自ルートで販売することを提案した。
作業現場は「整理、整頓、清掃、定位、定品、定量」を徹底して生産スペースを作り、さらに個人で作業する方式からラインによるレイアウトに変更した。
立ち上げた独自ブランド「京都紫音」については、商標登録を行って下請け状態からの脱却を図り、積極的なビジネス展開の象徴として位置づけた。販売は、ネットを中心に展開し、SEO対策、商品の見せ方、ネットショップの整備などホームページの改良も支援した。
作業現場を徹底して整理したことで、スペースが確保され、生産効率が向上した。また、第一工場と第二工場の役割を区分することで、通路の確保や動線が改善され、増床することなく改善前との比較で生産効率を250%アップできた。さらに、作業状態の見える化が進み、生産工程の管理がしやすくなった。
ブランドづくりの点では、商標登録出願が済み、審査および商標登録を待つ状態であり、ネット販売の準備も完了し、販売体制を整えることができた。相談者は「昨年から取り組み始めている「京都紫音」オリジナル商品の開発・生産・販売がこの支援のおかげで円滑に展開できるようになった」と支援に対して大変満足している。