年商3億円超がコロナ禍で売上半減も収益構造改善に取り組み
年商2億円でも黒字になる収益構造に変革
昭和43年創業の漬物製造販売業。熊本県南小国町の黒川温泉で長年事業を続け、年商は3億円を超えていた。漬物グランプリでは九州・沖縄ブロックの最高金賞を平成26年に受賞し、県内外で品質が高く評価されている。
代表者:平野 直紀(ひらの なおき)
住 所:〒869-2402 熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺6436-3黒川温泉
連絡先:0967-44-0214
URL:http://www.genkidaikon.co.jp/
昭和43年創業の漬物製造販売業。熊本県南小国町の黒川温泉で長年事業を続け、年商は3億円を超えていた。漬物グランプリでは九州・沖縄ブロックの最高金賞を平成26年に受賞し、県内外で品質が高く評価されている。
代表者:平野 直紀(ひらの なおき)
住 所:〒869-2402 熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺6436-3黒川温泉
連絡先:0967-44-0214
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令和3年8月から令和4年3月まで、信用保証協会の専門家派遣にて経営改善計画策定支援を行った。同社はコロナ禍の影響により売上が半減する厳しい状況であったが、さらに原価率が高いという構造的な課題も抱えていた。経営改善計画では令和4年12月期に営業黒字化を目指していたが、その達成にはきめ細やかなフォローが不可欠であり、当拠点の伴走支援事業による継続的な支援が必要と判断し、今回の相談に至った。
多くの中小企業経営者は売上回復だけに目が行きがちであるが、コロナ禍の影響で当面は売上回復が期待できないため、売上回復よりも収益構造の改善に注力することをCOは提案した。また、同社は漬物製造だけでなく、菓子や土産品など仕入商品の販売も行っており、食品卸売業の側面ももつ。しかし、これらの仕入商品は売上には寄与するものの利益率が低く、収益への貢献ができていない商品も多かった。また、同社製品においても原価率に大きな製品格差が生まれていた。その結果、令和2年12月期の損益分岐点比率は142.2%と非常に厳しい状況だったため、売上回復を重視するよりも収益構造の改善が急務と判断した。
当時の代表は相談者の父であったが、実質的な経営は息子である相談者が担っていた。熊本県事業承継・引継ぎ支援センターとも連携し、事業承継計画書策定の支援を行い、令和6年2月に相談者が代表となり、事業承継も円滑に進んだ。また、仕入値の見直し交渉や販売価格引き上げの取組も提案。同社の自社製造商品については、原価率の低い商品の販売を強化し、原価率の高い商品は低い商品とのセット販売を行うなどの取組を支援した。また、委託販売先のなかには、売上を意識するあまり過剰在庫となっている卸先も多かったため、委託販売先の商品管理の強化を提案し、相談者は常に適正在庫を維持できるよう調整を行った。
令和5年12月期の粗利率は令和元年12月期と比べて8.7ポイント改善し、2期連続で営業・経常共に黒字化を達成。損益分岐点比率も79.8%まで改善し、年商2億円での黒字化が見込まれる経営体質へと生まれ変わった。また、観光需要が徐々に回復し売上も2億円を大きく超えるまで回復。さらに、営業キャッシュフローも2期連続で大幅に改善されたため、金融機関からの借入返済のリスケジュールもすべて解除となった。今後も取組を継続し、粗利率のさらなる引き上げを目指す。
● 優先課題は収益構造の改善であることを共有
● 原価率分析を行い粗利率の改善をサポート
● 卸先の商品管理強化と適正在庫維持への調整支援
コロナ禍の影響で観光業を生業とする当社は売上が半減し、よろず支援拠点に相談することにしました。事業再生などの課題分析だけでなく、誰にも言えない悩みを共有し、共感いただいたことが、一番の支援でした。小規模事業者の経営者は孤独です。寄り添ってきめ細やかな対応をしてもらえたことが大きな改善につながりました。