コロナ禍でも伸びている市場を精査、 原料として売り込み、安定した売上を確保
平成27年、四万十市の伝統的特産物である柑橘類「ぶしゅかん」とその食文化を全国にPRし販売するために設立。「四万十ぶしゅかん生産者組合」からぶしゅかんを買い取り、旬の時期は青果のまま、また自社が持つ設備で搾汁、加工し製造した果汁やシロップ、調味料として通年販売する。
四万十ぶしゅかん株式会社
代表者:田村 吉教（たむら よしのり）
住 所:〒787-0157 高知県四万十市山路2494-1
連絡先:0880-31-9211
目次
- 外食産業の落ち込みが売上に影響、新規取引先開拓をめざす
- 伸びている分野で県内企業を選定、新たな販路として想定
- ぶしゅかんの魅力を説明し販路も提案、自社設備も補助金で整備
- 冷菓が商品化、リキュール向け商品も軌道にのり、今後はOEM生産委託も
外食産業の落ち込みが売上に影響、新規取引先開拓をめざす
高知県では8月半ばから9月初旬にかけ、「新子」と呼ばれる宗田鰹の刺身を食べる文化があり、ぶしゅかんの青果はその刺身の薬味に欠かせないものとして需要が集中する。一方、果汁やシロップはお酒の割り材として人気で、飲食店への業務用としての出荷が多い。ところがコロナ禍により外食産業の集客が大きく落ち込んだことで、青果、果汁、シロップとも出荷量に大きな影響が出てしまった。そこでブランド価値を下げずに販路を広げるため、相談者は四万十市の職員同行のもと、当拠点に相談に訪れた。
伸びている分野で県内企業を選定、新たな販路として想定
COはまず、ぶしゅかんの知名度を調査し、県内での知名度はあるが県外の知名度が低いことを確認した。これはぶしゅかんが県内の需要に合った生産量で、県外へのPRは二の次になっていたことが理由と考えられた。つぎに、コロナ禍でも伸びている市場を調査すると、量販店が挙げられ、量販店に向けた商品開発に取り組む食品企業が増えていることが判明した。そこで、この分野の中堅企業への原料供給で販路開拓とブランディングを同時に進めるよう提案した。
ぶしゅかんの魅力を説明し販路も提案、自社設備も補助金で整備
COは自身の人脈や県のネットワークを使い県内食品企業のニーズと動向を調査、冷菓製造メーカー、酒造メーカー、ドレッシングメーカーなどを見込み先企業として設定した。それらの企業に相談者とともに訪問し、原料としてのぶしゅかんの魅力を説明、販路についての提案も行った。またより高いレベルの品質管理を実現するため、県工業技術センターを紹介し、品質管理の方法や設備の導入の情報を得ることを提案した。出荷量が増えるぶしゅかんを効率的に殺菌する設備の新規導入のため「事業再構築補助金」申請の支援も行った。
冷菓が商品化、リキュール向け商品も軌道にのり、今後はOEM生産委託も
取組の結果、各企業で原料として採用された。冷菓製造メーカーには「四万十ぶしゅかんアイスキャンデー」向けに初年度は果汁1,500kgを納品、売上は300万円となり、以降毎年同様の売上が続く見込みだ。酒造メーカーには「ぶしゅかんリキュール」製造用の果汁を年間5,000kg納入、1,000万円の売上を予定する。さらにドレッシングメーカーには「塩たたきのたれ」「ポン酢」などの商品開発とOEM生産を依頼し、自社ブランドとして県内の量販店、土産物店での販売を計画している。
青果としての出荷はシーズンが限られるため、ブランディングのためには長期間市場で販売される加工品の開発が必須でした。県内企業同士のマッチングのため、商談にはできるだけ同行しました。さらに事業者や地域の熱意が最重要と考え、事業者の心のフォローアップにも気をつけました。
「ぶしゅかんアイスキャンデー」は加工品としてはじめて全国での定番販売につながった商品です。ぶしゅかんの知名度が広がるきっかけになり、また美味しさも広く知られることになると思っています。さらにお酒やドレッシングなど他の商品が加わることで、販売が全国エリアに広がっていくことを期待しています。
