各支援機関を巻き込んだ販路開拓で売上げが約125%増
独自の農法で栽培するサツマイモ及び加工品を生産する、さんわ農夢株式会社。 特色のある商品はあるものの、販路開拓のノウハウがないという課題に直面していた。 相談者に対し、地域内の支援機関を巻き込んだ「点を線につなぐ支援」が始まった。
代表者:大橋 知寿(おおはし ちず)
住 所:香川県三豊市山本町辻1393-1
自社で生産したサツマイモの味覚評価試験(一般社団保人おいしさの科学研究所実施)で高い評価を得た相談者は、それまで会社の一部署の事業で行っていた農産物及び加工品の生産・販売を、別会社として法人化し、事業拡大を図った。しかし相談者の母体は建設業であり、農業分野の事業ノウハウがなく、三豊市商工会に相談に出向いたところ、当拠点を紹介された。
香川大学農学部と共同開発した土壌改良材を使い、砂地ではなく田んぼで生産する、相談者のサツマイモは、地域内においても新規の取り組みであり、差別化された魅力的商材だ。一方で、農作物の販路開拓や営業についてのノウハウを有していないために、事業拡大については非常に困難な状況であった。このサツマイモを活用したペーストの加工品開発も行っていたが、菓子製造の事業ノウハウもなかった。
加えて、商品パンフレットなどの営業ツールも未整備、展示会や商談会にも出展したことがなく、自社商品PRも充分行えていない状況にあった。
相談を受け、当拠点は販路開拓に注力した支援のポイントを3つに絞り込んだ。さらに農商工連携色の強いケースであったため、各支援機関と連携した「点を線につなぐ支援」を当拠点がコーディネートした。1つ目は営業ツールの開発。商品のパンフレットやポスターなどを制作し、地域内情報誌に情報を掲載するよう提案。三豊市商工会経営指導員とも連携して、持続化補助金の活用も行った。
2つ目は、展示会出展。地域内でのマッチング商談会や展示会に積極的に参加することを勧め、当社内にノウハウがたまるようにした。当拠点コーディネーター・かがわ産業支援財団農商工ファンド担当者においても随時相談対応を実施。平成27年度「スーパーマーケットトレードショーの香川県ブース」に出展した。
3つ目は人材育成を主としたノウハウの蓄積。全くの異業種からの参入であり、商談の知見や社内の営業体制が整っていないことから、商談の基礎知識や一次産品の販売方法についてのセミナーに参加するなどを香川県6次産業化窓口と協力して行った。
長期的な販路開拓支援により、平成28年度見込み売上げは、平成26年度から約125%向上している。
営業ツールを制作したことで、地域内の認知度が向上し、地元TV局やラジオ局、新聞などにも頻ぱんに掲載がなされるようになった。
現在、域外への展示会出展を計画的に行っており、菓子製造業や専門店、首都圏大手百貨店からの引き合いも多数発生している。
「各支援機関から助言をもらえて、計画的な課題解決に取り組めた。継続的に支援を受け経営の安定を図りたい」と相談者は次のステージを見つめていた。