産業PRイベントの定期開催による地場産業の復興と産地活性を目指す
かつて座敷机や家具調こたつの生産で日本一のシェアを誇っていた香川の家具業界。しかし、生産の主力が海外に移った今ではその面影がなく、地元の工場や技術者は減少傾向にある。そんな中、平成28年に東京ビッグサイトで開催された産業イベント(IFFT)への出店をきっかけに、県内木工メーカー同士のつながりができた。この好機に産業PRイベントを開催し、県の木工産地としての復興を図りたいと考えたが、それには組合員以外との連携も必要である。地域全体での集客、売上拡大に向けたアドバイスを欲し、当拠点に相談に訪れた。
Coはまず、香川県の家具、木工業界が現在おかれている状況を確認するとともに、各事業者に事業内容や取扱商品、イベントに期待する参加目的や効果のヒアリングを行った。その結果、「参加事業者で結成した『チーム香川』の目的の認識不足と、全体の意識統一がされていないこと」、「プロジェクトの運営管理ノウハウや、ターゲットとする客層に的確にPRするための手段の不足」という2つの課題があることを分析した。
はじめに計画内容をまとめた資料を作成し、参加事業者21社で全体の目標を共有するよう助言。県への補助金申請における資料作成についてもアドバイスを行った。また、役割ごとに担当者を決め、委員会を設置することを提案。これを受け、相談者は会計、会議運営、イベント実施などの委員会を設置。それぞれが主体的に企画、準備、連携をとる体制が整った。さらに、他県での同様の取組みについてのリサーチを実施し、客層の想定や、PR方法を検討。イベントの企画内容については各事業者の見どころがわかりやすくなるよう提案した。
アドバイスを受け、申請を行ったことで、県から補助金が下り、これを資金として平成29年に第1回テシゴト・フェスタを開催。多い企業では1日に100人程度の集客があった。ラジオ番組や新聞などの取材も受けたことで、業界の認知度も向上。ものづくりに関心のある学生の来場も多く、イベント参加をきっかけに、県内の木工所へ就職が決まるなど、人材確保にもつながった。またイベントで関心が高まったことから、香川県が重点的に支援する地場産業品目に「家具」が加えられ、業界の復興に向けた足がかりができた。翌年以降も継続的に開催を計画し、引き続き地場産業の振興や産地の活性、協力体制の構築を続けている。