コロナ禍対応の製造体制改善で作業効率4倍、残業ゼロ、粗利益は15%アップ
昭和42年創業。現代表取締役の父親が創業し、2代に渡り和菓子を製造。まんじゅう、大福などを地元スーパーなどに卸売。人口10万人あたりの和菓子屋登録件数が約22件と全国2位の集積がある石川県において、同県七尾市の和菓子店は10店舗。その中で大手企業にはない商品や競合他社では出せない価格と品質にこだわり、オリジナル商品の開発にも力を入れている。
代表者:粟津 繁行(あわづ しげゆき)
住 所:〒926-0861 石川県七尾市寿町83
連絡先:0767-52-3538
もともと相談者は取引先に和菓子をバラ売り販売できる状態で納品していたところ、取引先からコロナ禍対応のため、製品を個包装しての供給要請があった。これを受け、従業員4名で1畳スペースにて手作業で個包装することで対応していたが、作業工程増加に伴い残業時間が増加。また、作業環境は三密状態であり、人員増強も難しかった。この状況を解決すべく自動包装機、金属探知機の導入を検討し、商工会議所と当拠点への相談に至った。
「高品質な和菓子を求めやすい場所・価格で提供したい」と他社と棲み分けして販売してきた結果、安定した販路を確保できており、売れ筋商品が定着、商品に対する信頼性も高いのが同社の強み。一方、労働集約的な製造工程による限界が売上拡大と利益率向上の阻害要因であった。設備投資のための資金調達と返済財源の確保が必須であるが、コロナ禍での個包装ニーズをチャンスと捉え、製造方法の改善と、付加価値の高い新商品開発に取り組むことにした。
商工会議所は設備投資に対し、県の支援策の活用を提案。COは事業計画書作成に際し、盛り込む内容を具体的に提案して作成を支援。売上拡大策として、商品のブランド化や平均単価のアップを目指すこととした。また、認知度向上と商品に込めた思いを伝えるためのロゴマーク作成へのアドバイスを実施。新商品開発の検討とともに、自社ブランドと商品の認知を高めることに取り組んだ。
設備投資の効果で三密状態だった作業環境は改善し、個包装作業は1人で可能となり製造効率は実質4倍に、日々4時間かかっていた残業もゼロにできた。加えて、製造工程の人的接触数の60%削減により、商品安全性が向上。これらの結果、設備導入後4ヶ月間の粗利益が前年比15%アップした。また、地元スーパーとのコラボで2ヶ月おきに新商品を投入し、日販は平均500個に上る。自社ブランドと商品の認知も高まり、新商品の取扱い小売企業も5社から8社に増加。今後はさらなる高付加価値商品を開発し、ネットでのギフト販売に取り組む。
計画作成に際し目的を絞り込む、取組ごとの効果予測を具体的、客観的に数値を見える化してわかりやすくする、目標売上はエビデンスを元に設定するなど、実現可能性のある計画になるよう支援しました。また、不変的な価値ベースでブランド化を図っていくことを提案しました。
相談して設備を導入した結果、大幅に作業効率をアップでき、新商品の開発・販売も実現しました。取扱企業からは「お客様が『粟津屋』を指名する声をよく聞く」と言っていただけています。お客様の認知度が上がり、ブランドアップにつながっている証拠です。相談してよかったです。