蔵元に受け継がれてきた 150年の技術と酒造りへの情熱
創業は江戸末期、安政(1855-1860)の時代に遡る「明利酒類株式会社」は、光圀公に因んだ「副将軍」(全国新酒鑑評会金賞受賞通算15回)や、国産青梅で造る「百年梅酒」(平成20年大阪天満天神全国梅酒大会優勝)などの蔵元として知られる総合酒類メーカーである。自社開発した明利小川酵母(10号酵母)とM310酵母を全国の酒造メーカーへ販売し、長年にわたり日本の酒造文化の一翼を担ってきた。近年では焼酎、ジン、ウオッカ、リキュール、発酵調味料の製造・販売も行っている。
代表者:加藤 高藏(かとうたかぞう)
住 所:〒310-0836 茨城県水戸市元吉田町338
連絡先:029-247-6111
URL:https://meirishurui.com/
創業は江戸末期、安政(1855-1860)の時代に遡る「明利酒類株式会社」は、光圀公に因んだ「副将軍」(全国新酒鑑評会金賞受賞通算15回)や、国産青梅で造る「百年梅酒」(平成20年大阪天満天神全国梅酒大会優勝)などの蔵元として知られる総合酒類メーカーである。自社開発した明利小川酵母(10号酵母)とM310酵母を全国の酒造メーカーへ販売し、長年にわたり日本の酒造文化の一翼を担ってきた。近年では焼酎、ジン、ウオッカ、リキュール、発酵調味料の製造・販売も行っている。
代表者:加藤 高藏(かとうたかぞう)
住 所:〒310-0836 茨城県水戸市元吉田町338
連絡先:029-247-6111
URL:https://meirishurui.com/
現在、国内の日本酒消費量は、ピーク時の昭和40年代後半の4分の1にまで激減しているが、それでも大吟醸などの高級酒の減少幅は小さく、出荷数の割合も日本酒全体の約35%と堅調である。一方、日本酒の輸出量は長く続く和食ブームを背景に増加を続け、なかでも、1本3万円を超えるような高価格帯の日本酒の人気が急騰している。また、海外の権威ある品評会で最高賞を毎年受賞するようになった日本のウイスキーは、世界で評価を上げ続けている。輸出量は直近の10年で10倍以上に増加し、令和3年の時点で日本酒輸出量を超えている。こうした市場に向けた展開を模索していた相談者は、あまりに手間がかかる製法のため、同社で年間30本も製造できずにいた日本酒の製品化を計画し、当拠点に訪れた。同時に、ウイスキー造りに関しては、蔵に残る帳面の記録をもとにした醸造環境の整備を相談した。
日本酒造りには、発酵させた「もろみ」を「酒」と「酒粕」に分離する工程がある。通常、機械で圧力をかけながら「もろみ」を絞ることで、効率的に分離させる。しかしそれだと「もろみ」に負荷がかかるため、酒に雑味が残ってしまうことがある。「もろみ」を濾布に入れて吊るし、機械による圧縮を行わず、時間をかけ重力の力だけで分離させる手法を「しずく落とし製法」という。同社が商品化を企画したのはこの手法を採用した日本酒である。採算ベースに乗る年間生産量2,000本は、これまで同社が製造できた本数の70倍にあたる。COは増産体制の構築には、空気による酸化劣化を防ぐオリジナルの密閉容器システムと、専用の濾紙の開発の必要性を確認した。ウイスキー造りには熟成が重要な課題と設定し、銅製の蒸留器を設置。蔵元に伝わる日本酒造りのノウハウを生かし、米を原料とするグレーンウイスキーの製造から取り組むことになった。
こうして造られた明利酒類史上最高峰の日本酒は「雨下-uka-」と命名された。米は、最高峰の酒米とされる兵庫県産山田錦の特等米の中心部のみを使用。仕込み水は、水戸を流れる那珂川水系を源流とする硬度91の深層地下水。この水は、酒造りに最も適した水を求めて全国を放蕩した蔵元の初代高藏氏が惚れ込んだという逸話のある水戸の名水。酵母はもちろん自社酵母であるM310酵母だ。商品化には、ガラス職人が一点ずつ手作りする“しずく形のガラス瓶”を採用し、杉の木箱に収める仕様に。価格は3万3,000円(600ml)に設定した。ウイスキー造りにおいては、半世紀ぶりにウイスキー製造免許を取得し、新設した蒸留所は、初代蔵元の名をとって「高藏蒸留所|TAKAZO Distillery」と命名。米原料のグレーンウイスキーに加え、大麦麦芽によるモルトウイスキーの製造もスタートした。
令和5年の3月に発売された「雨下-uka-」は、初回ロット500本が自社サイトを通じ数日で売り切れ、追加販売された国内用1,000本もほどなくして完売した。残りの500本は、米国、英国、香港、台湾、カンボジア、タイの複数の国・地域で商談がまとまった。今後も「雨下-uka-」は毎年2,000本の製造を行う予定だ。「高藏蒸留所|TAKAZO Distillery」のウイスキーの販売開始は令和7年を予定している。最初の商品はシングルモルトのNewPot(樽詰め前のウイスキー原酒を使った蒸溜酒)の検討だ。また、同社で蒸留されるシングルモルトは、スコットランドのモルト原酒などとブレンドし、アメリカンホワイトオークバーボ
ン樽とシェリー樽での後熟も開始。樽のバリエーションとモルト原酒の酒類を増やし、テストを繰り返しながら、同社NewPotとのブレンドの最適解を追求している。
・相談者の事業内容と構想しているプランを理解し、考えられる支援策をリスト化
・具体的な設備投資に向けた補助金制度のフレームを確認し、事業計画書の作成もサポート
・海外展開においては、他の支援機関との連携を意識
COは、酒造りという特殊な事業を勉強し、常にリスペクトの思いをもって、適切な支援案をリスト化して提案してくださいました。「しずく落とし製法」による明利酒類史上最高の日本酒「雨下-uka-」の製品化と、ウイスキー造りの再開に向けた「高藏蒸留所|TAKAZO Distillery」では、既存設備では実現できない課題をどのようにすれば解決できるかを相談しながら、事業再構築補助金の活用と事業計画書の記述事項などについてのアドバイスをいただきました。関連機関との連携により参加した“日本の食”輸出EXPOでは、国内外の商社などへのPRに努めることができました。ウイスキーの販売も始まっている3年後には、コロナ禍前を超える売上目標を設定しております。