時代のニーズにあわせた新商品の企画開発前年比約24%アップ、過去最高の売上高に
醤油蔵の4代目社長である相談者は、醤油そのものの消費量が落ち込み続け、同業者が次々と廃業を余儀なくされていくなか、醤油蔵を残していかなければという使命感を持っていた。需要が伸びている「つゆ」や「たれ」といった醤油加工品や、若い世代にも興味を持ってもらえる新商品の開発に向け、具体的な方策について当拠点に支援を求めた。
これまで相談者は他社の調味料工場へ原料として醤油を出荷してきており、その受注は醤油本体に比べて安定していることに注目。これまでの「こだわり製法による醤油」で勝負するのではなく、活用シーンを考えた販売戦略が有効であると判断。また若者の需要取り込みに向けては、若者の需要動向を分析。スイーツ市場が大きいことに注目。
その結果、全体の方針として、今までの醤油販売から加工品販売に力を入れていく必要性があることを確認。Coは、加工醤油品や若者向けに醤油を活用したスイーツの開発など「自社ブランド商品を開発し、内製化していくこと」が課題とした。
醤油加工品の内製化については、地元商工会議所と連携して行ったニーズ調査の結果をもとに、卵かけごはん専用や漬物用の醤油、焼肉のたれなど、用途・ターゲットを明確にした開発を提案。地元の飲食業やスーパー等にも働きかけを行うようアドバイス。また、若者向けのスイーツとして、プリンやシフォンケーキ、ソフトクリーム等の開発を提案。認知度向上のため、年間200万人の来場者を誇る「ひたち海浜公園」や集客力あるイベントでの出店販売を行うこと、その後のリピート購入ができるようにホームページでの販売体制を充実させることも提案した。
その他にも、コンテナ型の移動店舗で各種イベントや観光地などで醤油スイーツを移動販売することや自社醤油をブレンディングし、オリジナルの「My醤油」が作れるようにしてはどうか、と提案。相談者も実現に向け取り組んでいる。
新たな醤油関連商品を開発し、業務用販売から一般消費者向けへの販売施策を展開した結果、市内飲食店でも同社の「つゆ」や「たれ」が多く採用されるようになり、売上高の40%を占めるまでに成長。また、ひたち海浜公園でのイベント販売のおかげで、工場敷地内に開設した直売所への来客数も増加、1年で2倍に。平成30年には前年比約24%アップで過去最高の売上を記録した。