コロナ禍で本業の業績が落ち込む中 顧客の声に応える 新規事業の立ち上げで事業転換の道を拓く | よろず支援拠点全国本部

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コロナ禍で本業の業績が落ち込む中 顧客の声に応える 新規事業の立ち上げで事業転換の道を拓く

平成24年にエステサロンとして開業。女性固定客を開拓する中で、美容における食生活の重要性に気づき、自社商品の開発に着手。栄養価の高い玄米に出会ったことをきっかけに、有機焙煎玄αを商品化。コロナ禍で本業のエステサロンが苦戦する一方、自社商品の販路を着実に広げて、新たな事業の柱とすることを目指している。

公開日: / 都道府県:兵庫県 業種:製造 課題: 事業再構築

エムズ

代表者:山本 マサ子(やまもと まさこ)
住 所:〒673-0012 兵庫県明石市和坂12-19 クロスロードハイツヤマサキ 304
連絡先:070-5657-2304

平成24年にエステサロンとして開業。女性固定客を開拓する中で、美容における食生活の重要性に気づき、自社商品の開発に着手。栄養価の高い玄米に出会ったことをきっかけに、有機焙煎玄αを商品化。コロナ禍で本業のエステサロンが苦戦する一方、自社商品の販路を着実に広げて、新たな事業の柱とすることを目指している。

公開日:
都道府県:兵庫県/業種:製造/課題:事業再構築

エムズ

代表者:山本 マサ子(やまもと まさこ)
住 所:〒673-0012 兵庫県明石市和坂12-19 クロスロードハイツヤマサキ 304
連絡先:070-5657-2304

目次

  1. 相談のきっかけ
    「顧客の美容と健康に役立ちたい」という思いから始めたオリジナル商品開発
  2. 現状分析・課題設定
    個人事業主でも挑戦できることを実証すべくオリジナル商品開発に向けた課題のリスト化
  3. 提案・実行支援
    国内だけでなく海外における広報活動を支援
    販路が世界に向けて拡大中
  4. 支援成果と今後の展望
    新規事業を通じてコロナ禍の逆境を克服
    事業の本格的な拡大を追求していく

相談のきっかけ
「顧客の美容と健康に役立ちたい」という思いから始めたオリジナル商品開発

商品化に向けたハードルを超えるための相談

相談者は、営業職など様々な職種を経験し、独学でエステティック施術を学んだほか、地元商工会議所主催の起業塾などで学んだ後、平成24年にエステサロンを開業。口コミを通じて女性客層を開拓し、多数のリピーターを獲得している。エステの顧客ニーズを探るうちに、美容と食生活の関係性に気づき、オリジナル商品の開発に着手することとした。開業5周年の顧客サービスの一環として、玄米由来の入浴剤や温熱カイロを企画した経験を踏まえ、玄米を原料とした商品開発に着手した。これには、相談者自身の健康問題から早朝から深夜までエステサロン業務に従事することに限界を感じており、働き方改革の一環としてエステサロン業務以外の事業の柱を探していたという側面もあった。商品開発に際し、焙煎健康茶などをOEM製造している会社に相談。玄米をせいろ蒸しにした後、焙煎するという加工方法にたどりついた。商品化の目途はついたものの、実際に販売するためには各種の法規制をクリアする必要があるほか、ブランド化の取組、販路開拓、量産化に向けた体制の構築など様々な課題があり、信頼できる支援者を探していたところ、同業者仲間から当拠点を紹介され、相談に至った。

現状分析・課題設定
個人事業主でも挑戦できることを実証すべくオリジナル商品開発に向けた課題のリスト化

商品化においてブランドストーリーの重要性を指摘「ピンチをチャンスに変える」焙煎玄米αの新事業

担当COは商品開発状況を詳しくヒアリングした上で、事業化に向けて取り組むべき課題をリストアップ、優先順位をつけて解決を目指した。商品化に欠かせない取組として、ブランドストーリーの重要性を指摘。これを踏まえ、相談者は開発品の成分分析を実施することで、玄米の持つ栄養成分の有用性を正確に把握し、ブランド化の足がかりとした。さらに、原料となる玄米の差別化を図るため、兵庫県内の産地を調べたところ、豊岡市産の「コウノトリが育む米」に出会い、すぐさま生産者と交渉・調達することに成功した。有機栽培の玄米を原料とすることで、安全安心の食品をアピールできる上、地産地消や環境保護の観点からブランドストーリーを語るために最適な原料を見つけた。令和2年2月、「そのまま食べられる焙煎玄米α」として自社ECサイトで販売を開始。他方、同時期に新型コロナウイルスが拡大、本業のエステサロンは休業せざるを得ない状況となった。この危機に際して、相談者は「ピンチをチャンスに変える」という強い意志で、焙煎玄米αの新事業に注力する方針を打ち出した。これを受け、当拠点では、支援の中心となる担当COだけでなく、各分野の専門COを通じて、知名度向上、販路開拓に向けた取組を開始。相談者の優れた行動力もあり、コロナ禍という厳しい状況の中、事業化に向けて一気に動き出すこととなった。

提案・実行支援
国内だけでなく海外における広報活動を支援
販路が世界に向けて拡大中

パリの美食家が認めネットニュースなどで一気に話題に
商標権やライセンス契約などの法務面での支援も強化

担当COは、顧客層の明確化と商品特性を生かしたブランドストーリーの言語化をアドバイス。相談者は開発に向けた思いを込めた広報資料を作成したが、その際、ミニコミ誌の編集者としての経歴がうまく生かされた。また、各種メディアや行政機関を紹介し、SNSを含めた広報活動を支援。その内容が国内だけでなく、海外へと伝わった結果、兵庫県主催のフランス・パリでの販路拡大活動への参画として結実。そこで、パリの美食家が焙煎玄米αを高く評価したことから、日本国内のラジオ番組やネットニュースで取り上げられ、知名度向上に大きく寄与するとともに、人脈も広がったことで、ミス・ジャパン兵庫の公式美容食に採用されるなど、事業化に向けての可能性が大きく広がった。並行して、事業化に必要な商標権やライセンス契約などの法務面についてのアドバイスや、商品やパッケージの改善についても支援を行い、ブランドロゴマークを一新して、事業化に向けた道筋をつけることに成功した。令和2年以降、本業のエステサロンの売上は依然として大きく落ち込んでいるものの、新規事業に対する相談者の熱意と行動力、当拠点の様々な支援がうまくかみ合い、新事業に新たな活路を見いだしており、事業化は次のステージへと進んでいる。

支援成果と今後の展望
新規事業を通じてコロナ禍の逆境を克服
事業の本格的な拡大を追求していく

焙煎玄米αの粉末化で洋菓子原料として活用
関心がさらに高まりつつあるスーパーフードとしての玄米

コロナ禍が続き、エステサロンの売上がほとんど望めない状況となった反面、焙煎玄米αの売上は順調に伸びており、販売を開始した令和2年2月~12月の期間と比較して、翌年同時期の売上は2.83倍(183%増)となるなど、エステサロンの業績の落ち込みをカバーしつつある。令和3年は売上全体の約7割が焙煎玄米αの販売によるものであり、コロナ禍における事業再構築の成功事例となっている。引き続き、当拠点では相談者の熱意に応えるべく、事業拡大を積極的に支援しており、粉末化した焙煎玄米αを用いた玄米マドレーヌの商品化とネット販売、玄米黒茶などの商品化に係る支援を進めている。これらの事業化に向けては、クラウドファンディングを活用して、事業資金の調達と知名度向上を図っている。また、スーパーフードとしての玄米に対する社会の関心が高まっていることから、高級ホテルやレストランと連携し、焙煎玄米αを用いたメニューの考案も進めており、今後も国内販路開拓につながる広報活動や商品開発を支援していく。さらに、海外販路については、フランスに続いて、アラブ首長国連邦のドバイに進出する話が進んでいる。事業に大きな可能性をもたらすものとして、海外販路開拓の側面からの支援もあわせて強化していく。こういった多方面の支援を通して、今後、相談者が新規事業を成長軌道に乗せ、コロナ禍の逆境を克服して更なる成長を実現できるよう努める。

事例を振り返って

相談者は、事業の進展を構想しながら、高い行動力で推進し、多くの魅力的なチャンスを掴んでくる方です。複数のCOがそれぞれの得意分野からサポートを行いました。経営資源などの制約条件、達成したい業績や規模感などあるべき姿を念頭に、課題解決に向け、「少し進める、すぐ実行できる」をキーワードに、お役立ちのヒントにしてもらえそうな情報提供や何から優先的に進めていくかを整理しました。また、他社との協業や広報など初めて経験する機会も多く、具体的にどう進めていくか、実務的な支援を心がけました。

相談者の声

新規事業がここまで育ってきたのは、ひとえにCOの皆様のおかげです。私の妄想から始まったビジネスプランについて、夢の実現へと導いてくださいました。この間、私の闘病や親の介護など幾多の困難がありましたが、それらを含めて逆境を乗り越え、事業化の道を歩んでいます。今後もご指導をいただきながら、皆様のご期待に応えるように新規事業の成功に邁進してまいります。

支援した拠点

兵庫県よろず支援拠点

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