「きめ細かな事前準備と誠実な対応」としての取組
昭和25年に創業して以来、プラスチックの射出成型加工業を営み、ホック釦、ウレタン製品、自動車・照明器具部品からスポーツ関連部品などを生産している。また、自社で培ったネットワークを活用し、照明器具・自動車部品等の企画、設計・塗装、メッキ加工や印刷といった2次加工もおこなう。創意工夫と量産によるコストダウンのノウハウを強みに、「より良い品を、より多く・安く提供する」をモットーとしている。
代表者:土田 光一
住 所:〒669-3306 兵庫県丹波市柏原町北中11
連絡先:0795-72-2246
URL:https://www.tsuchidakagaku.co.jp/
昭和25年に創業して以来、プラスチックの射出成型加工業を営み、ホック釦、ウレタン製品、自動車・照明器具部品からスポーツ関連部品などを生産している。また、自社で培ったネットワークを活用し、照明器具・自動車部品等の企画、設計・塗装、メッキ加工や印刷といった2次加工もおこなう。創意工夫と量産によるコストダウンのノウハウを強みに、「より良い品を、より多く・安く提供する」をモットーとしている。
代表者:土田 光一
住 所:〒669-3306 兵庫県丹波市柏原町北中11
連絡先:0795-72-2246
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相談者は社長のご子息で後継者候補。利益が出ない状態が2期続いたことから、資材費の高騰による製造原価の上昇が主要な原因の一つと想定。社内で価格交渉を検討したが、長年の取引先との関係性や交渉に臨む場合に用いる資料が不明確であった。価格交渉に向け情報収集をしていたところ、経済産業省のHPでニュースリリースを発見した。よろず支援拠点の価格転嫁サポート窓口を知り、窓口相談に来訪した。
これまで、得意先に対して量産によるコストメリットを訴求していただけに、「値段を上げて」とはなかなか言い出しにくい状況であった。しかし、原材料価格が日々高騰する中、これを社内で吸収することは困難であり、なかには小ロットであっても得意先の要望によって受注することもあったため、製造現場として量産メリットを活かすことが難しいケースもあった。また、受注時の見積もりは社長が一手に行っており、これまで積み重ねた経験値を基に算出していたため、昨今の急激な材料高騰に比例していないケースが多くみられた。こうした中、得意先とコストについて相談すると「資料を持ってきてほしい。」と言われたが、社内でアイテムごとに原価計算しているわけではないため、交渉の席につくまでに至らなかった。
まず、交渉の前提として「交渉するなら今しかない。今を逃しては、この先交渉が難しくなる。」とアドバイスをした。当時の価格交渉に応じない企業名については公表するなど、国を挙げて下請け企業の価格交渉を後押しする空気感があったことは追い風だった。そのうえで、ごく初歩的なひな形資料を例示し、交渉のポイントを説明。簡単な資料の提示だったが、相談者は帰社後、ロスを含めた部品当たりの詳細なコストを品目ごとに計算し、交渉のためのデータを作成。完成した資料を社長に提示し社長が自ら交渉することとなり、順次、得意先に訪問した。幸い相談者の得意先は地域の中堅企業も複数あり、得意先自体が更に先の得意先に交渉する立場でもあったため、相談者の立場について一定の理解が得られていたと考える。
数カ月後、成果のヒアリングを実施。ヒアリングによると、主要な20社の得意先のうち、約半数に価格交渉を行い、多少の幅があったもののすべての企業において価格アップが実現。これは、受け入れられる環境、得意先の理解に加え、相談者がひな形を基に詳細な資料を作成したことが成果に繋がったと考える。併せて、当社において原価計算方法が確立したことも大きな成果となった。
限られた相談時間の中で最も伝えたかったことは、上記記載の「交渉のチャンスは今しかない。」ということと、社長の交通費なども含めた間接費を計算に含めること。長くコストダウンを要求されてきた中小企業が価格アップの交渉につくには相当の覚悟が求められる。薄々わかっていることに対して「強く背中を押した。」というのがCOの役割だったと感じている。
今回の相談で、これまで「敷居が高い」と思っていた価格交渉のきっかけを得ることができました。帰社後の作業は大変でしたが、社長の理解も得ることができ、会社を上げての取り組みが成果につながりました。社会でも従業員の賃上げの声が高まっており、これからも残りの会社との交渉を続けて行きたいです。