地元の素材にこだわった商品で売上182%アップ
「選りすぐった原材料のおいしさに頼った、シンプルでクリアなものづくりを」をモットーに、オリジナル商品の開発に挑む相談者。素材と手作りへのこだわりを最大限活かし、地産地消を意識した商品開発がはじまる。
自社商品の拡充や販路の拡大についてアドバイスが欲しいと、平成26年9月に当拠点を訪問したことが相談のきっかけとなった。
そこでまずは課題の整理と分析から実施。「選りすぐった原材料のおいしさに頼った、シンプルでクリアなものづくりを」をモットーに、もともとはOEMを主としてきた一方で、オリジナル商品の開発が課題でもあった。また、ブランドイメージの確立や原価計算の考え方、マーケティングの基礎知識の習得など、まずは売れる商品づくり・仕組みづくりのための基礎知識を習得することも、大きな課題として抱えていた。その際に心掛けたのは、素材と手作りへのこだわりを最大限活かすこと。そして地産地消を意識した商品開発の提案などである。
そこでコーディネーター(以下CO)が提案したのは、「首都圏販路開拓支援プログラム(注1)」等と連携した支援を実施することである。また、同時に産振構の販路開拓支援プログラム「ヒロシマ・デパートメント(注2)」など、様々な展示会や商談会への出展を通じた商品PRの提案や首都圏のバイヤーの紹介などに関する支援を行った。
これらのアドバイスを受け相談者は、商品の価格や容量などを見直し、首都圏でも売れる商品へと改良。そしてそれに加え、バイヤーから見られることを意識したホームページへの改良を行った。
新商品の開発にあたっては、付加価値を高めるため、地産地消へのこだわりを提案。フルーツ王国・広島産のフルーツを使った「広島レモンチーズケーキ」「フルーツケーキシリーズ」やアイス焼きプリン「カタラーナ」など、新しいスイーツをつぎつぎと発売した。アイス焼きプリン「カタラーナ」は、「日本航空国際線プレミアムエコノミークラス用リフレッシュメント」としても、平成27年より2年連続で採用されるなど、数ある洋菓子の中で特色を出すために試作を重ねた。フルーツのチーズケーキは、フルーツ原料を「1次加工して冷凍する」という方法に行き着いた。「これなら添加物不要で年間供給ができる」との見通しも立ったという。
また、引き続き産振構の「ヒロシマ・デパートメント」への参加や各種展示会・商談会・販売会等へ積極的に参加し、テストマーケティングの実施により、小売店バイヤーや消費者のニーズを基にした商品開発を行い、販売先を拡大していった。
さらに、洋菓子専門ブランド「パステッチャリア カスターナ」を立ち上げ、常温で日持ちのするパウンドケーキや焼き菓子などラインアップを拡充した。一方で、ドレッシングについてもオリジナリティを重視した商品開発を展開。レモン生産日本一の広島県産レモンをふんだんに使った「広島レモンドレッシング」やサラダだけでなく刺身などにも使える万能調味料「瀬戸内カルパッチョドレッシング」、淡路島産の玉ねぎを使った「瀬戸内玉ねぎドレッシング」など、人気を集めている。
新商品の開発支援・販路開拓により、実施前と比べ2年間で182%の売上増につながっている。
自社商品を拡充したことで、お客さまから直接の反応をいただけるようになり、さらに力が入るようになったという。「これからも素材と手作りにこだわった商品」を届けていくことを目指している。また新規取引も増え、商圏を海外に拡大することも見据えている。
(注1):広島ブランドショップTAUでの商品の取り扱いがあり、デパートや高級スーパー等の首都圏等での販路拡大を希望する県内の食品製造事業者に対し首都圏等への販路拡大の機会を創出。
(注2):屋号「ヒロシマ・デパートメント」を冠し,強力な競合相手となるブランド品・大手商品に埋没しないために,類似する広島県品を集団化(セレクトショップ化)させ、首都圏等における専門展示会や販売会への出展を通じ、ブランディングや販路開拓を支援。