ニーズに対応した戦略と広報で中国語の教育事業の売上アップ
貿易事業と、貿易業のかたわらで開設した中国語の教育事業を展開する相談者。創業から約25年、事業比率の大部分を占める好調な中国語の教育事業だったが、事業スタート時から漠然としたイメージで運営を行っている実態があった。
代表者:井野 敦子(いの あつこ)
住 所:群馬県高崎市江木町219-6
貿易事業に加え、企業や個人に向け中国語の教育事業を展開する相談者。中国語企業研修では中国赴任者向け研修など企業のニーズに沿った、カスタマイズ型の研修を得意としており、中国語教室では、個人レッスンおよびグループレッスンを開設している。
当拠点と相談者との出会いは、平成26年9月。高崎商工会議所からの支援依頼によるものだった。当時はまだ当拠点に参画していなかったコーディネーター(以下CO)が、貿易事業主体のホームページから、中国語の教育事業をメインにした広報型のホームページに移行したいという相談者のサポートにあたっていた。
その後、取引先企業からの依頼にこたえるべく、遠隔型の中国語教室の実現に向けた継続的な支援を行っていた際、COが当拠点に参画することとなり、これに伴い相談者も当拠点に来訪することになった。
そこで整理・分析された主な課題は以下の3点である。
中国語の教育事業は創業当初より夢中で突き進んできたため、今後の展開について漠然としたイメージはあるが、構想として具体的な落とし込みできていなかった。
第二に当社の主要事業である中国語企業研修事業では、今後確実な顧客基盤の確立が最重要課題。企業側のニーズに合わせた研修を開発し、提供することが望まれた。
第三にホームページ活用である。企業研修ニーズ、個人レッスンニーズにこたえられるように、中国語の教育事業に適したホームページを整備することで、広報手段を早急に確立する必要があったのだ。
COはまず現状と今後のありたい姿をビジネスモデルとして図式化(見える化)し、具体的なイメージを描くことを提案。あらためて中国語企業研修を当社の一番の柱と位置づけることを確認した。プロを目指すための価値を提供し、カルチャー教室の需要は狙わないことにしたのである。
また中国語企業研修では、現在の顧客である企業の担当者にヒアリングを行い、より具体的な生徒像をとらえるように助言した。ターゲットとなる個人の生活を想定し、レッスンを受けやすい時間帯、回数、価格等を推定したのである。
最小限のコストで運用するという助言に基づき、制作したホームページでは企業研修向けのコンテンツは、一見地味でも誠実なコンテンツを掲載。個人生徒向けのコンテンツは、カリキュラムを時間表として見せる形式にした。
こうした取り組みの結果、平成28年度売上高は前年度比15%アップが予測されている。企業研修ではニーズに対して柔軟に対応したことにより、群馬県内の大企業4社、中小企業1社が継続中で、今年度に新たに上場企業1社、中小企業1社がプラスされ、顧客基盤も着実に広がった。
個人生徒向けレッスンでは、受講者のニーズに合わせたコースの開設、コースの見せ方の工夫により、問合せが前年度比2 0%増となった。その内訳として、ホームページ・ブログで知ったという個人が50%を占め、ホームページが広報手段として確立した。
「不足していたI T活用を、幅広くサポートいただいた」と語る相談者は、現在ホームページのリニューアルにも積極的に取り組んでいる。