量産終了品の価格見直し及び労務費を含むエネルギー価格高騰分の価格転嫁
昭和34年創業。売上高37.54億円。「人づくり物づくり幸福づくり」を社是として、冷間鍛造技術を強みに自動車部品、電機関連部品の製造・販売を手掛ける金属加工メーカー。
代表者:土田 雄一郎
住 所:〒504-0957 岐阜県各務原市金属団地68
連絡先:058-382-7171
URL:https://maru-y.co.jp/
昭和34年創業。売上高37.54億円。「人づくり物づくり幸福づくり」を社是として、冷間鍛造技術を強みに自動車部品、電機関連部品の製造・販売を手掛ける金属加工メーカー。
代表者:土田 雄一郎
住 所:〒504-0957 岐阜県各務原市金属団地68
連絡先:058-382-7171
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相談者が令和12年に売上高100億を目指すための事業計画を策定する中で、当拠点に相談があった。これを受け経営(外部・内部)環境分析を行う中で、採算性の低い加工部品の存在や、自動車部品加工業界の慣習から主力取引先に対して値上げ交渉ができないジレンマに陥っていることを認識し、採算性の改善に向けた支援も並行して行うこととなった。
長期ビジョンの実現に向けた事業計画の策定支援の中で内部環境分析を進めた。その中で、製品別の成長性・採算性の2軸に対して、付加価値額を円の大きさとするポートフォリオ分析を行ったところ、量産終了部品に関し成長性がなく生産しても赤字が常態化していることが判明した。また、相談者にヒアリングをする中で支給品の金型保管料、生産単価が量産期のまま据え置かれている現状が判明した。採算性の向上には、「支給品の金型保管に関する費用負担の明確化(課題➀)」、「量産終了品の生産単価の見直し交渉(課題②)」、「課題②を受け入れて貰えない場合の継続受託に関する可否判断(課題③)」の3つの課題が浮き彫りとなった。
取引先との交渉に入る前に、「下請かけこみ寺と連携した相談を実施し法令違反に該当していないか」、「自動車工業会が提唱する取引ガイドラインに基づいた取引となっているか」、「取引先が適正取引パートナー宣言企業であるか否か」について、事前に調査するとともに量産終了時点以降の人件費上昇分の当該部品製造費用に占める割合を算出し手交渉に臨むことを提案した。事前調査の結果、(一社)日本自動車工業会が定めるガイドラインに沿った取引となっていないにも関わらず、取引先は適正取引パートナー宣言企業であることが判明した。これらをもとに、取引先の交渉窓口に価格改定の必要性について丁寧に説明し価格改定の交渉を進めた。
量産終了部品に関連した取引契約書が見直され、費用負担が軽減され収益性が向上した。加えて、上記価格交渉の経験をもとに、エネルギー価格の上昇や労務費の賃上げ分についても、生産部品への価格インパクトについてエビデンスを提示しながら交渉を進めた。その結果、令和5年4月にエネルギー価格高騰分(0.65%)、労務費賃上げ分(1.56%)令和5年10月にエネルギー価格高騰分(0.60%)、令和6年1月 :労務費賃上げ分(0.97%)という価格転嫁に成功した。
取引先の交渉窓口の役割を十分認識し、担当者が組織の上位層へ上申しやすい根拠資料の準備を行うとともに、取引先担当者の上位層やコンプライアンス部門との関係構築にも努めるようにした。
業界の慣習から価格改定交渉について半分あきらめていましたが、第三者として交渉術を含めて助言いただけたことで、長年抱えていた課題の解決につながりました。