高齢者地域の問題から商機を探り当初計画の2倍の売上を計上
代表者:藤村 聡樹(ふじむら さとき)
住 所:岐阜県恵那市笠置町毛呂窪1093-34
連絡先:0573-32-1608
自然美に惹かれて神奈川県から岐阜県恵那市に移住し、造園事業者に庭師として勤務していた相談者。「美しい自然を守りたい」と起業を志すも、思いだけが先行し、何をどうしてよいかわからず途方に暮れていた。相談者は、恵那市役所で起業に関する相談窓口として、恵那くらしビジネスサポートセンターを紹介された。そこで、出張相談会をしていたCoと出会い、支援がスタートした。
恵那市は、人口減と高齢化によって林業・造園業の廃業が進むなど、市場規模は縮小傾向にあり起業するには極めて困難な地域である。現在の造園業としての市場規模では、損益分岐点売上高を確保することが困難であると判明。そこで、顧客のターゲティングとニーズ調査の分析など市場調査を実行。その結果、庭師に頼むほどではないが負担の大きい庭作業を行えていない高齢者が多いことや地元同業者も高齢化していて対応できていないことがわかった。そこで、これを商機と捉え「高齢者をターゲットとした事業展開と販路開拓」を課題とした。
市場調査をもとに、庭を保有する一戸建て住宅に住む高齢者世帯や、高齢者の農家にターゲットを設定するよう提案。高所や果樹の剪定、田んぼの草刈りなどの庭師に頼むほどではない軽微な作業を地元高齢者が気軽に相談できるよう、事業コンセプトを「恵那の里山を守る緑の便利屋さん」とした。販路開拓に向けては、ターゲットのお困りごとを地元の方言を使って親しみやすく表現した販促チラシ作成も提案。恵那商工会議所や恵那くらしビジネスサポートセンターとも連携し、地元の新聞社へのニュースリリース作成、支援機関のホームページなどに事業者の紹介記事を掲載するなどの提案を行い、販売ルートの開拓支援も行った。
地元新聞社2紙の取材を受け、起業後2か月で地域に広く認知され浸透した。また、地道なチラシの配布と地元での販促活動により、開業直後から予想以上の問い合わせが入り、創業1年目の現在は、当初計画していた2倍の売上を計上。地元の恵那市が人口減問題に取り組む中、都会から移住してきた庭師が活躍している姿は明るい話題として注目を浴び、移住・定住に関するイベントにも招待されるなど、自身の事業のほか、地元の恵那市にも波及効果が出始めている。