生産体制の見直しでコストをかけずに供給増を実現、新たな事業の柱に
段ボール製品を約60年製造販売する老舗。主な取引先はメーカーなどで、梱包する商品に合わせ内部の構造を立体的に組み合わせる設計や、自由な曲線で切断する加工技術などを特徴とする。新たに立ち上げたBtoC事業では、生活を豊かにする段ボール製品を開発、販売している。
代表者:寺澤 一光(てらさわ かずあき)
住 所:〒824-0018 福岡県行橋市今井1133
連絡先:0930-23-0050
相談者はリーマンショックによる不景気、安価な海外製段ボールや競合する新たな梱包材の登場などから、BtoB事業のみに頼った自社の将来に不安を感じていた。そこでBtoC事業への参入を模索し、子ども向け家具を皮切りに、自社技術を活用し、スタイリッシュかつ実用的なネコの爪とぎ「スヌーズ」を開発する。この商品がテレビに紹介されたことで人気を集め、多くの問合せが殺到した。しかし、本格的なBtoC事業の展開方法がわからず足踏みが続き、打開策を求め当拠点へ相談に訪れた。
「スヌーズ」は、相談者が応募したグッドデザイン賞で入賞したことでテレビの取材が入ったことや、この商品でネコが遊ぶ姿がSNSに投稿され拡散したことで、知名度を獲得する。直後に開設した直販でのECサイトには、多くの注文が集まった。しかし、BtoB向けのラインが手すきのときのみ本製品の生産を行っていたため、相談当時は受注残が6ヵ月分で、注文が増えても売上増を見通すことが困難な状況であった。COは効果的な販促活動と、それにより増えた注文をこなせる生産体制の両立が課題と考えた。
COは生産現場を確認し、生産能力は十分ながら、生産の段取りや要員配置に問題があると考え、現状の従業員数のままでBtoC製品を専門に手がける担当者を配置するなどの改善を提案した。販促活動では、飼い猫が同商品で遊ぶ写真や動画をSNSに投稿するアンバサダーを募集、SNS対策を強化。同社ECサイトにおいては、コンバージョン率改善のため、ランディングページの不要なリンクを減らすなどサイトの構成を変更、さらにランディングページへの流入促進のためYoutube広告やGoogle広告の利用も提案した。
新たな事業の柱へ育てるべく、BtoC商材専門の生産ラインをあらたに構築。受注後2週間以内での出荷を実現し、さらなる注文増にも対応できる見込みだ。支援後の平均売上高は支援前に比べ約339%となっている。これまでは安売りを避けるため直販ECサイトに絞ってきた販売も、考えの合うパートナーへの卸販売を検討している。さらに環境にやさしい商品であることから、各方面から「コラボしたい」という問合せも集まり、BtoC事業はさらに拡大する見込みだ。
相談者は当初、有料ネット広告に消極的でした。そこで、まず少額からの実施を提案し、効果を確認した上で、本格的な出稿に移行しました。生産体制については、設備、要因とも充足していたため、運用変更により追加のコストなしに強化を実現できました。支援者は複数の専門家が情報共有を密に行い、支援を継続しました。
SNS、動画、ウェブ解析、労務、省エネ、事業計画など、深い知識と専門性を持つ支援者から、丁寧な説明と的確な助言を受けることができました。BtoCの売上高を全売上高の10%とすることが目標でしたが、それ以上も見えてきました。今後も支援を仰ぎながら、提案いただいた施策を積極的に活用し、取組を続けていきます。