未経験の新事業、補助金活用と専門家派遣で本格的展開を実現
日本屈指の紙産業集積地である四国中央市の紙加工会社。1988年、製紙会社6社が共同出資し、新事業の開発と、OB人材の活躍の場を確保することを目的に設立された。お茶パック・シートペーパーの製造・販売が主要事業である。
代表者:代表取締役社長 宇髙 尊己(うだか たかき)
住 所:〒799-0112 愛媛県四国中央市金生町山田井318番地
連絡先:0896-56-6260
同社は、木材由来のセルロースナノファイバーに代わる新素材として、以前よりユーグレナ(ミドリムシ)由来の新素材に着目していた。その活用による将来有望な新事業を検討していたが、当該分野は未経験ゆえ、立ち上げに際して何を準備し、検討すべきかについて、課題が山積みになっていた。そんな折、(公財)えひめ東予産業創造センターから当拠点を紹介され、相談に至った。
微細藻類であるユーグレナを乾燥・粉末化した素材は、直径が小さく、繊維が一定の長さで揃っているパラミノンナノファイバーとしての活用が期待できる。セルロースナノファイバーよりも高機能な代替品として、事業化できれば将来的には既存事業を上回る売上創出に繋がる可能性を秘めていた。しかし、事業化には多額の費用を要する新プラントの設置や開発・研究が必要であり、そのための資金調達が大きな課題であった。
COは、同社の資金負担の軽減と、当事業の地域への波及効果等を勘案して、研究・開発資金の一部を公的資金で賄うことを対応方針とした。具体的には、「愛媛県新成長ものづくり補助金」等の活用を提案し、事業計画書の作成支援を行った。さらに、安定・継続的な資金繰りができる基盤整備を目指し、ミラサポ専門家派遣制度を活用して公認会計士とも連携。IPOも念頭に置いたファンドや社債発行などの手法を例示することで、資金調達案を具体化した。
同社は、補助金の採択により得た開発資金で、大型タンクの培養設備を導入し、従来より10倍以上の速さでユーグレナを培養できることを実証。また、(公財)えひめ産業振興財団等と連携した研究事業が、国の戦略的基盤技術高度化支援事業にも認定され、産学官連携による事業推進体制が整った。現在は、同社の取組に関心をもつ事業者へのサンプル提供を通じて、用途開発を進めており、本格的な事業化に向けて順調に推移している。
相談者にとって、まったく未知の新事業であり、既存事業の売上を大きく上回る可能性を秘めたチャレンジであった。当拠点内の複数CO及びミラサポ専門家派遣制度による複合支援により、特に多額の資金調達を解決できることを主眼に丁寧な支援を心がけた。
同社での未経験事業を手探りで進めたスタートアップで、丁寧な対応と的確なアドバイスをいただき、円滑・安心な事業展開が進められた。特に資金調達は、補助金と専門家派遣を活用し継続中。今後も頼れる経営相談所として活用したい。