製品の原価計算をもとに収益性重視の経営に転換し連続で増収増益の業績達成中 | よろず支援拠点全国本部

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製品の原価計算をもとに収益性重視の経営に転換し連続で増収増益の業績達成中

昭和24年に相談者である社長の祖父が創業した生麺および乾麺の製造販売業。70年以上にわたり秋田県の南西部に位置する由利本荘市にて事業を展開。地域の事業所や学校給食、量販店などに生麺を卸している。また、看板商品である「高山干うどん」を中心に、地域の特産品を用いた多種多様な乾麺を企画、製造し、道の駅などで土産品として販売を行っている。量販店のフードコートにて、うどんなどを提供する直営の飲食店も経営。地域では「高山のうどんを食べて育った」と言うファンも多く、定番ブランドとして認知されている。

公開日: / 都道府県:秋田県 業種:製造 課題: 価格転嫁

有限会社 高山製麺

代表者:髙山 康樹(たかやま こうき)
住 所:〒018-0711 秋田県由利本荘市岩谷町字川端64-7
連絡先:0184-65-3074
URL:https://takayamaseimen.com/

昭和24年に相談者である社長の祖父が創業した生麺および乾麺の製造販売業。70年以上にわたり秋田県の南西部に位置する由利本荘市にて事業を展開。地域の事業所や学校給食、量販店などに生麺を卸している。また、看板商品である「高山干うどん」を中心に、地域の特産品を用いた多種多様な乾麺を企画、製造し、道の駅などで土産品として販売を行っている。量販店のフードコートにて、うどんなどを提供する直営の飲食店も経営。地域では「高山のうどんを食べて育った」と言うファンも多く、定番ブランドとして認知されている。

公開日:
都道府県:秋田県/業種:製造/課題:価格転嫁

有限会社 高山製麺

代表者:髙山 康樹(たかやま こうき)
住 所:〒018-0711 秋田県由利本荘市岩谷町字川端64-7
連絡先:0184-65-3074
URL:https://takayamaseimen.com/

目次

  1. 相談のきっかけ
  2. 課題
  3. 支援内容
  4. 支援の成果

相談のきっかけ

利益率の高い乾麺の増産を目指すものの設備投資の資金確保のめどがたたない

令和2年、相談者は地元の商工会を訪れ、自社のホームページのリニューアルについて相談。その際、商工会の担当者へ「麺類のビジネスは利幅が限られていて、収益性をいかに高めるか悩んでいる」と悩みを打ち明け「よろず支援拠点の専門家に相談してみては」と紹介されたことが当拠点を知るきっかけであった。その後、コロナ禍が生じて家庭での麺類の需要が伸びた一方、外食需要が激減したため、生麺の販売数が一気に低下して苦しい経営が続いた。落ち込んだ分の売上を確保するに当たり、新たな商品の開発や販路の開拓が重要な課題となっていた。だが、生産設備の老朽化により日々の生産量が限られ、販売量の多い定番の生麺生産を優先せざるを得ない状況となっていた。収益性の高い乾麺などの増産にむけて設備の増強に取り組むべきと強く認識していたものの、売上が減少する中で金融機関からの融資を得るのが難しく、現状をどのように打開すべきか悩んでいた。また、60歳を目前にした相談者が、後継者である子息への事業承継に向けて経営見直しの必要性を感じていたことから、当拠点へ相談に訪れた。

課題

生麺の販売価格が先代社長の時代から上がっていない事実が判明

同社はこれまで製品別の原価計算を実施したことがなく、値決めは相談者の勘に頼っていた。そのため、客先主導の価格設定や原材料価格の変動により、営業利益が確保できていなかった。「昔の売上帳簿を見ると、生麺の販売価格が先代の経営時からほとんど変わっていなかった」と相談者が嘆くほど、長年にわたり価格改定が思うようにできない状況が続いていた。また、看板商品である干しうどんの製造については、製麺機などの設備が老朽化し受注量に対応できない状況にあり、売上の機会損失が発生していた。先代の社長が生み出した地域の特産である絹さやを原料に練り込んだ「きぬさや麺」など、高付加価値な新製品の開発に取り組んできたにもかかわらず、それらを収益増につなげることができていなかった。一方、量販店内の飲食事業については、客足がコロナ禍以前の水準に戻らず、メニューのリニューアルや看板の掲示方法の改善を必要としていた。さらに、相談者はホームページをリニューアルしたいとの希望を持っていたものの実現できなかったことから情報発信の不足も懸念事項であった。

支援内容

製品別の原価を割り出し それを根拠に価格改定の交渉を開始

COは、コロナ禍の令和4年から本格的な経営支援を開始。まず、主要取引先別および製品別の利益分析を行い、原価データを算出。輸入小麦粉の高騰に対する価格交渉の根拠として活用した。工場・設備面での最重要課題であった、老朽化して売上機会ロスを起こしている乾麺の製麺機については、あきた企業活性化センターの専門家派遣事業を活用。故障の原因を分析し、費用を見積もった上で修理を実施した。また、直営食堂のメニューおよび価格設定を見直したほか、視認性を高めるディスプレイなどで店舗改善を行った。さらに、デザイン担当のCOから事業の強みの効果的なアピール方法などについてアドバイスを受けて、ホームページをリニューアル。その際、秋田県信用保証協会の専門家派遣制度と由利本荘市の補助事業を活用した。「製品ごとの原価はそれなりにわかっていたつもりでしたが、正しい算出方法にもとづいた原価や損益分岐点を知ることで経営の実態が明らかになりました。そして、適正な利益を確保するための売価を認識できたことで、お客さまとの価格改定の交渉を進める気持ちになり、さらに成長に向けて次の一手を考えることができるようになりました」(相談者)と、支援により経営に対する自信を深めることとなった。

支援の成果

直近の売上高は前年比108% 増収増益に向けた施策を次々に展開中

取引先との価格改定の交渉で成果を上げたことで、経営状況は着実に改善に向かった。「直近の売上高は前年比108%増となりました。イベント会場への出店頻度を高めたことが売上拡大につながったほか、猛暑などの影響でざる中華などの売上が好調だったことも追い風です」(相談者)。経営の安定化に向けた基盤を築いた現在、前向きな取組が始まっている。売上の機会ロスの原因であった乾麺製造機を修理したことで製造効率が高まり、乾麺の受注増が可能となった。今後は、老朽化した工場の移転計画に合わせて、事業の中期計画の策定と事業承継による会社の成長を目指している。そして、相談者は受託製造への対応にも積極的に取り組んでいる。その一つが、地元・由利本荘市の特産であるソバの実を挽いて用いたそばなどの製品化。こうした取組を通じて、従来は定番の生麺の売上が全体の約8割を占めていたのに対して、生麺6割、乾麺4割のバランスを目指し、全体としての収益性を高めていく考えだ。それとともに、「由利本荘市をうどんの町として盛り上げていきたい」と、相談者は抱負を語っている。

事例を振り返って

● 当拠点COのほか由利本荘市商工会担当者や秋田県信用保証協会専門家などによる月2回の現状把握と進行支援
● 原材料費に応じた適正な販売価格設定や製麺機の修理における見積もりなどの支援

相談者の声

よろず支援拠点に相談して、経営とは尽きるところバランスの見極めであるなど、さまざまな気付きを得ることができました。また、メンバーによる定期的な打ち合わせがあり、話し合いの中で改善案の提案をしてもらえたことがやる気につながったと思います。加えて、支援していただいた内容を着実に実行していることで金融機関の当社を見る目が大きく変わっています。経営改善に向けた計画書の提出などを通じて金融機関が融資に対して前向きになっており、今後もご支援をいただきながら頑張っていきます。

支援した拠点

秋田県よろず支援拠点

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