価格転嫁による取引停止を乗り越え慎重な交渉方針の確立 | よろず支援拠点全国本部

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価格転嫁による取引停止を乗り越え慎重な交渉方針の確立

昭和23年創業、昭和31年設立の主に古紙再生トイレットペーパーを製造販売する企業である。製品はトイレットペーパー90%、タオルペーパー10%となっており、主な販売先は、㈱あらたや紙卸売業及びコープ九州・コープ中四国・コープきんきなどである。最終ユーザーは、スーパー・ドラックストア・ホームセンターなどを経た一般顧客やJR(山陽新幹線・在来線)やビル(大阪・東京のオフィスビル)などの業務用である。

公開日: / 都道府県:愛媛県 業種:製造 課題: 価格転嫁

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住 所:非公開

昭和23年創業、昭和31年設立の主に古紙再生トイレットペーパーを製造販売する企業である。製品はトイレットペーパー90%、タオルペーパー10%となっており、主な販売先は、㈱あらたや紙卸売業及びコープ九州・コープ中四国・コープきんきなどである。最終ユーザーは、スーパー・ドラックストア・ホームセンターなどを経た一般顧客やJR(山陽新幹線・在来線)やビル(大阪・東京のオフィスビル)などの業務用である。

公開日:
都道府県:愛媛県/業種:製造/課題:価格転嫁

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住 所:非公開

目次

  1. 現状
    第一弾の価格転嫁の成功と挫折
  2. 課題
    販売増加に伴うコスト抑制が急務
  3. 支援内容
    各顧客の交渉経緯の分析と今後の進め方の検討
  4. 支援の成果
    第二弾の価格転嫁を見据えた原価分析による交渉

現状
第一弾の価格転嫁の成功と挫折

昨年は、燃料費・材料費等の高騰による収益悪化の為、やむをえず販売価格を転嫁(第一弾)し、多くの顧客にご納得いただいた。しかし、中には価格転嫁に納得されず、取引停止をなってしまった顧客もいた。そのような中、大手製紙会社(大王製紙・王子製紙等)が令和6年2月に第二弾の販売価格転嫁(値上げ)が公表された。相談者は、これについて、どうするべきか、顧客離れを起こさないよう慎重な検討を進めていく。

課題
販売増加に伴うコスト抑制が急務

収支の概要については、主に販売増により営業利益は増加傾向。製造原価総額の増加は2年で約8百万円と抑えられており、社内で改善を実施しながら一般管理費は減少傾向で推移している。また、製造原価については、75%が人件費で金額、比率ともに上昇中。減価償却費負担は12百万円と少額。経費の約半分は固定資産関連費用(賃借料、修繕費など)。人件費の増加を減価償却と経費の減少で一部カバーし総額増加を抑えている。それから、販売高の増加はメディカル商品の大幅増加によるもの。紙加工は減少傾向である。なお、一般管理費の増減要因は主に役員報酬によるもの。前述の通り、減価償却費は少額である。上記の通り、収益状況が厳しい中、メインバンクからは、デューデリジェンスを迫られており、その対応についても検討中である。

支援内容
各顧客の交渉経緯の分析と今後の進め方の検討

顧客別の価格転嫁についての成功事例と失敗事例について、その交渉経緯を分析し、現在調整中の顧客について、どのように交渉を進めるべきか、対応方法を検討。具体的には、原価の把握と計算根拠、日常的なコミュニケーションによる相互理解向上、競合他社の値上げ状況の分析と対応策の検討、の3点について検討。特に「原価の把握と計算根拠」については、エネルギー価格・物流コストまで、一般に公表されている価格等から分析を進めて、説得力の高い、計算根拠を示すことが出来るよう検討を進める。また、価格改定(転嫁という表現よりも顧客の理解を得やすいと考える)については、日頃からの密なコミュニケーションが必須で、価格が折り合わないことも考慮しながら、交渉ポイントをあらかじめ設定出来るよう準備を進める。

支援の成果
第二弾の価格転嫁を見据えた原価分析による交渉

顧客別の対比表を作成し、今後の価格調整中の顧客の交渉方針の参考にする。また、顧客が納得して、価格改定を受け入れてもらえる資料の作成方法について、下請かけこみ寺相談員とも連携し、説得力の高い根拠資料の作成を進めていく。最後に、この第二弾の価格改定を単なる価格交渉と捉えるのではなく、経営体質の改善につなげていく気構えが肝要であると考え、今後の支援を進めていく。

事例を振り返って

上記の通り、必ず、交渉ポイントがあり、それを事前につかんでおくことが価格改定の肝と考えている。顧客によっては、売上比率が大きく、価格改定が失敗に終わった場合、経営に大きく影響が出ることも懸念されるため、慎重な対応が必要であり、案件ごとの最終責任者の決定を促した。また、特定の取引先に依存しない経営体質が理想であり、それに近づけるための努力も平行して体質改善を進めていく。

相談者の声

当社は、令和6年4月1日より、社長交代し、新体制で経営を進めていくこととしています。前述の通り、メインバンクからは、デューデリジェンスを迫られており、厳しい経営状況が続いています。その中で、今回の価格転嫁を素晴らしい機会と捉え、積極的に顧客へアプローチを進めていきたいです。その支援を今後も引き続きよろしくお願いします。

支援した拠点

愛媛県よろず支援拠点

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