地域で築いた信頼で販路を拡大 タクシー事業者のキクラゲ事業
昭和46年創業の「日栄交通株式会社」は、さいたま市でタクシー事業者として地域密着型の営業を続けてきた。業界に先駆けてクラウド型のタクシー配車システムを導入するなど、DXや業務改善に取り組んできたが、令和2年のコロナ禍でタクシー事業の売上が前年の6割まで落ち込んだ。これをきっかけに新事業としてキクラゲの栽培に着手し、「あの日のはごたえ」のブランド名で販売を開始した。現在は、乾燥キクラゲ加工品の製造販売も開始している。
代表者:清水 みはる
住 所:〒336-0025 埼玉県さいたま市南区文蔵3-6-12
連絡先:048-864-0003
URL:https://anohinohagotae.info/
昭和46年創業の「日栄交通株式会社」は、さいたま市でタクシー事業者として地域密着型の営業を続けてきた。業界に先駆けてクラウド型のタクシー配車システムを導入するなど、DXや業務改善に取り組んできたが、令和2年のコロナ禍でタクシー事業の売上が前年の6割まで落ち込んだ。これをきっかけに新事業としてキクラゲの栽培に着手し、「あの日のはごたえ」のブランド名で販売を開始した。現在は、乾燥キクラゲ加工品の製造販売も開始している。
代表者:清水 みはる
住 所:〒336-0025 埼玉県さいたま市南区文蔵3-6-12
連絡先:048-864-0003
URL:https://anohinohagotae.info/
コロナ禍で本業のタクシー事業の売上が前年比の6割まで落ち込んだ「日栄交通株式会社」。同社で社内改革の指揮を執る相談者は、新事業アイデアのブラッシュアップと資金調達についての相談で、当拠点を訪れた。いくつかの事業アイデアのなかで、COは「キクラゲの栽培事業」に着目し、事業再構築補助金の活用を勧めた。その後、連携支援機関のさいたま市産業創造財団とともに支援を行い、令和4年に事業再構築補助金の採択を受け、新規事業に着手した。
同社は約50年にわたりタクシー事業を続けてきたが、小規模タクシー事業は事業構造として利益が出にくく、コロナ禍前においても経常利益率は1~2%と厳しい状況だった。コロナ禍での売上減少によって収益構造がさらに悪化し、収益性改善につながる新事業への進出を急務としていた。そのひとつが「キクラゲ栽培」であった。同社は、事業再構築補助金の採択を受け、タクシー事務所の駐車場にキクラゲ栽培プラントを建設。「あの日のはごたえ」というブランド名で販売を開始した。しかし、まだ栽培方法が確立されておらず、時期によって収穫できる量にばらつきがあることから、農業経営に詳しいCOに、販路やブランディングについて相談した。COは、収益性改善を目指すのであれば、「生産量の増減に柔軟に対応できる地元販路の確保」と「価格競争に巻き込まれずに“指名買い”してもらえる自社ブランドの確立」が重要とアドバイスした。
「タクシー事業者がキクラゲ栽培に挑戦」という意外性から、メディア向けのPR方法を工夫した結果、TV番組など多くのメディアに取り上げられた。さらに、自社タクシーにも大きな広告を載せ、地域にアピールを行った。価格競争に巻き込まれない販路として、地産地消に熱心な地元飲食店、地元の学校栄養士ネットワークなどを紹介。また、一定量発生する規格外のキクラゲの利活用をアドバイス。キクラゲを乾燥保存し、ラー油などで味付けした瓶詰め「おかずきくらげ『いつものはごたえ』」の開発に着手することになる。
令和5年夏時点で、本社と桶川プラントで月産1t(約150万円)のキクラゲを生産できるようになった。令和5年末までには月産1.6t(約250万円)の生産を計画している。販路も広がり、生産量が追いつかないほどの人気となっていて、事業別の利益率は10%前後と、タクシー事業の10倍近い数字に。今後は加工品の販売比率を増やして、さらなる収益性改善を目指す。
・地域で50年積み上げた信頼とネットワークを活用
・意外性をPRの武器としたメディア戦略
・HACCPに基づく衛生管理についてアドバイス
COの農業・ブランディングに関するノウハウや、県内の幅広いネットワークを惜しみなく使った支援を受けることができました。今後は、県内でさらに栽培プラントを増やしていき、プラント周辺の各地域で地産地消型の販路を築いていきたいので、よろず支援拠点の全県的ネットワークに期待しています。