会社の急成長による資金繰りの課題を、わずか3ヶ月で改善
新経営体制への移行に合わせ、抜本的な基盤の見直しを行った株式会社ナダヨシ。 急成長の裏で陥っていた資金繰りの課題に、銀行出身のコーディネーターがメスを入れる。
代表者:植木 剛彦(うえき たけひこ)
住 所:福岡県古賀市青柳194
創業36年目に社長交代を迎えたことを機に、経営の抜本的な再点検を行うことになった相談者。技術力にはもともと定評のあった同社だったが、現状把握を行い、これからの経営計画を考えるなかで見えてきた喫緊の課題は、企業の成長に追い付いていない資金繰りの改善であった。
そこで自社に合った新たな財務体制確立のため、第三者の専門家からの客観的な助言を求めて当拠点に相談に訪れた。
当となった銀行出身のコーディネーター(以下CO)が過去3年分の決算書を分析し、相談者と面談を重ねたところ、多くの改善の余地が浮き彫りとなった。
相談の3年前には新たな工場が稼働を始めており、それに合わせて社員も増えていた。売上げも急速に伸び、一見すると順調に成長を続けているように見えた相談者だったが、増加した運転資金や労務費を管理する明確な資金計画がなく、しかも借入の返済負担が増加し、キャッシュフローに課題を抱えていた。また長期借入金は金利が高く、本社・第二工場ともに土地と建物が担保となっていた。
そこで、金利を下げることも含めた金融機関と条件の再交渉や、手形などの扱いの見直しを行うことになった。
改善の提案内容は多岐にわたる。金利下げ交渉にはじまり、担保条件見直しの交渉、借入形態の見直しなどをアドバイスした。また新規取引銀行を増やすことで、他行への金利下げ効果を図る方法なども伝えた。
加えて、銀行との条件交渉はデリケートに進めなければ取り返しのつかないことになる。銀行融資部出身だったCOの経験を生かし、交渉の内容だけでなく、その順序や交渉技術まで、段取り面でも細かなアドバイスを行った。
相談者は一連のアドバイスを「一企業の経理の範囲では学ぶことのできないもので、即実践に役立った」と振り返る。迷ったときはその都度相談を受けながら、二人三脚で銀行との交渉を行った。
結果、3カ月という短期間で大きな成果が出た。まず借入の金利を下げることに成功。本社の担保条件も解除でき、借入形態の見直しも実現した。割引料負担減のため手形割引をやめ、当座貸越枠を3つの銀行に新設もした。
結果、キャッシュフローは大幅に改善し、資金繰りにかかる労力が大きく下がった。また、資本構成の是正により、バランスシートも大きく改善された。合わせて日・週・月・年単位の資金繰り表の作成も始まり、長期的な視野での資金計画が運用され始めた。
相談者の言葉を借りれば、「創業以来の革命ともいえる」資金繰りの改善により、本業にいっそう集中できる環境が整い、今後の経営計画が明確に描けるようになった。新経営体制の足場固めが短期間で終わり、株式会社ナダヨシは次のステップへ向けて動き出している。