価格設定を見直し売上大幅増で赤字体質から脱却
地元客、観光客問わず人気の「アメリカンビレッジ」に、平成30年出店。手作り革製品を店舗およびネットで販売する。使い込むことで利用者の生活に馴染むものづくりをめざしており、上質な素材、丁寧な仕上げが特徴。オーダーメイドのほか、リペア、リメイクも手がける。
代表者:山城 良太(やましろ りょうた)
住 所:〒368-0105 沖縄県中頭郡北谷町美浜9-39デポアイランドコンテナショップ
連絡先:098-914-1014
県内の工房で2年間修行したのち、委託販売などを経て開業、オーダーメイド製作を中心に手がける。型紙を起こし、完成品の形状や機能を示すサンプルを作ったのちに本製作に入るという手の込んだ工程が人気を集め、休日なく働くほど受注が入っていた。しかし得られる粗利はわずかで、家賃、光熱費などの経費を引くと赤字となり、その穴埋めに開店時に借り入れた運転資金を取り崩す日々が続いていた。創業の1年後、返済について金融機関に相談したところ、当拠点を紹介され、訪問した。
COがヒアリングしたところ、平均月商は30万円ほどであった。製品価格は1点あたり5,000円程度に設定していたが、原材料費に利益を乗せただけで、製作にかかる人件費や製造間接経費(水道光熱費、機械の減価償却費など)を考慮していなかった。また金融機関からの借り入れは、運転資金という名目であったことから、事前に作成した事業計画書などもなく、経営は手探りであった。この状況を脱し利益が出る体質にするため、人件費や経費を製品価格に反映させ、売上を伸ばすことが必要と考えた。
CCOは商品価格、原価、粗利益を再確認し、準備工程にかかる工数も含めた適切な人件費と工数を設定し、またその根拠を顧客に明示できる取組を提案した。さらに受注後の予実管理を確実に行うため、PDCAの手法を採り入れることも促した。また、広い駐車場のそばという好立地ながら、他の小規模店舗に埋没しがちな店舗を目立たせるため、看板を設置。購買率を高めるため商品陳列見直しも実行した。さらにラインナップ充実のため定番商品を設定、手すきの時間にその製作を行うことも進言した。
商品単価は上がったものの、その根拠を適切に示したことで、顧客数への影響はなく、支援後半年で月の売上は100万円超に到達。その後150万円近辺で推移している。キャッシュフローに余裕が生まれたため、販売担当スタッフの新規雇用や、隣接の空き店舗を借り入れて工房とすることが可能となり、相談者は経営、自らの技術向上、製作に集中できる環境が整った。またこれまで手が回らなかったECサイトも、専任スタッフによる運営で、定番商品を販売するチャネルとして成長を続けている。
相談者の悩みに耳を傾け、原因の所在をヒアリングから分析しました。専門用語を使わずわかりやすい言葉で理解を促すとともに、経営に対する意識を変えることに気を配り、優先順位をつけて相談者が自ら動ける体制を意識しました。相談者が提案を即実行してくれたことで、大幅な経営改善が達成できました。
毎日忙しいのに赤字続きで、夢を抱いて創業した「自分の店」が続けられない危機感がありました。「お客様が付かないかも」という不安から価格を抑えていましたが、ご支援により「説得力ある適正な価格」の設定が実現、赤字から転換し成長路線を進むことができました。これからもいい製品、お店づくりに頑張っていきます。