老舗の味復活!既存ファンへの広報戦略によりオープン半年で 売上目標の120%を達成
令和2年2月に創業したかまぼこの製造販売。相談者は令和元年に廃業した「丸濱」(創業99年のかまぼこ店)の元工場長で、老舗の味を引き継ぎたいとの想いと、多くの「丸濱」のかまぼこのファンからの復活を期待する声で再出発。コロナ禍ながら、オープン後、行列が絶えない人気店となる。
代表者:奥村 武弘(おくむら たけひろ)
住 所:〒641-0022 和歌山県和歌山市和歌浦南1丁目3-16
連絡先:073-445-1508
もともと、廃業した老舗かまぼこ店の工場長だった相談者は、職人として一流(全国で切り出しかまぼこ、細工かまぼこの技術がある職人はほぼいない)の腕を持つ反面、自身には経営スキルが不足していると感じていた。創業にあたり、設備投資が多額になるため、金融機関からの借入れが必要であったが、前社が業況不振で廃業したことを踏まえると、金融機関の不安を取り除く綿密な創業計画書の作成のサポートが必要であったところ、知人の紹介により当拠点へ相談に訪れた。
COは創業融資申込書を相談者と一緒に作成。廃業した前社名は一切出さず、新規創業の強い意志のもと、どのようにして、老舗が復活したことを顧客に知ってもらうかが最大のポイントと判断。さらに、工場新設やECサイト作成だけでは老舗復活オープンの周知が弱いと判断し、相談者自身が発信せずとも周知できる方法を検討。また、かまぼこを高単価で販売していくために、贈答品として設定。今後の発展も考え創業前から商標取得を目指し、課題として設定。
金融機関からの借入れと同時に、自社ホームページの作成や同県の知財総合相談窓口と連携して商標登録を進めた。また、創業補助金などの施策活用を提案。他方で、顧客ターゲットは老舗復活を待つ既存ファンが多い地元シニア層に設定。その際、COは、シニア層の目に留まりやすい媒体として地元紙に取り上げてもらうことが必須と助言。同社のPR戦略として、工場の完成前に商品お披露目会を実施し、和歌山市長や新聞各社を招待。紙媒体やSNS、クラウドファンディングなども活用し多角的に展開した。
地元シニア層を中心とした口コミによる宣伝効果で、目標にしていた売上を大きく上回り、半年で目標の120%を達成。コロナ禍においてもネット販売を充実させ、広告をかけずに順調に受注が増加。本店のみの販売だが、地元百貨店からの出店依頼により「紀州路」コーナーに商品が常設された。今後は、生産量を増やすため、設備増強や地元雇用の拡大も検討しているところ。
相談者は職人として一流で、「この味が復活すればみんなファンになってくれる」という強い信念がありました。同社は少人数での運営であるため戦略を広報に絞りました。財務面ではわかやま産業振興財団のインキュベーションマネージャーと共同でフォローを行い、細かい原価計算を重ね、どんぶり勘定を徐々に見直すよう促しました。
かまぼこ店を復活したいと考えていたときに知り合いから当拠点への相談を提案され、すぐに伺いました。COには、創業に向けた手厚い支援をしていただき、自分でも信じられないほどとんとん拍子に進みました。本当に感謝しています。