日本では前例のない栽培システムと地元名産品を組合せた新商品開発に成功 地域活性化に貢献
平成24年創業。水産養殖業と水耕栽培事業とのハイブリッドによる次世代型の循環式エコ水産業の研究を進めている。化石燃料の最小化や耕作放棄地の活用など社会課題の解決を目指しており、自社を6次産業のその先を行く「7次産業化」と位置づけ、高い志を持って事業に取り組んでいる。
代表者:飯島 朗(いいじま あきら)
住 所:〒300-4354 茨城県つくば市国松1014-1
連絡先:029-866-0957
相談者は10年近くにわたり、チョウザメ養殖を核とした循環式エコ水産業(アクアポニックス)の事業化を進めていた。耕作放棄地を活用しながら、地球環境にも配慮した新たな産業を創出し、地域活性化に貢献したいという思いで事業を開始したが、研究が長期化し、事業化には厳しい状況にあった。事業のブランド化と必要な資金のめどが立たずに困っていたところ、県の農業改良普及センターより当拠点の紹介を受け、相談に至った。
COは、ヒアリングと圃場の視察を通して、同社は、競合他社と比較しても高品質で独自性の高い国産七味唐辛子の商品化を進めていることがわかった。一方、同商品の顧客のターゲティングや販路開拓が進んでいなかったことから、周辺地域の市場調査を実施。その結果、つくば市北端の筑波山周辺において、地域名物の食や土産品がないことがわかり、新市場を創造できると判断した。これを踏まえ、事業の安定化のため、開発途上商品の販路開拓と、観光客向けの商品開発の2点に取り組むこととした。
観光客向け新商品の事業コンセプトは、相談者がこれまで推進してきた「7次産業化」に関心が高いと思われる倫理的消費(エシカル消費)層に訴求しやすいものとした。次に、マーケティングやデザインを専門とする、当拠点の他のCOと連携し、①ECサイトの構築・運用、②展示・商談会への出展、③コンセプトイメージの訴求に資するコンテストへの出展、④小規模事業者持続化補助金や自治体の補助事業への申請、⑤事業者とのマッチングなどを支援した。
商品化された七味唐辛子とその関連商品は、つくば市の名産品である福来(ふくれ)みかんの陳皮も含まれることから、つくば市を代表する土産品として売上が増加した。各種コンテストの受賞やメディア掲載、展示会への出展を契機に都心の大手百貨店や上場スーパーチェーンとの取引も開始し、売上の安定化につながった。また、補助金を活用してECサイトを構築し、顧客の声を直接拾うことにより、関連商品の開発も進み、売上は前年比で150%を達成した。
カウンセリングやコーチングのアプローチをしながらビジョンの言語化を一緒に行いました。相談者の「こうありたい」というイメージが明確になることで、商品開発も営業活動も先鋭化し、引合が増える中でも、その都度事業の優先順位を確認し、販路拡大のスピードアップを図りました。
COが丁寧に話を聞き、まとめてくれたおかげで、自分が本当にやりたかった事業やお客様の顔がイメージできるようになりました。一つ一つの取組が進行し、成功した後も定期的に新たな気付きやアドバイスをいただけたことも、事業を進める上で大きな原動力になりました。