後継者育成を支援しながら商品開発と販路拡大も実現
干物離れや後継者不足のため、地域の水産加工会社が年々規模を縮小していく中、相談者は、利益確保と雇用増加のためにもOEMで製造していた缶詰を自社製造に切り替えることにし、缶詰製造機導入を計画。相談を受けた「(公財)しまね産業振興財団」の担当者は、「平成28年度革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」の申請を支援。その中で、相談者から事業承継とそれに関する県の「事業承継新事業活動支援助成金」についても相談を受けたことから、当拠点を紹介。相談者は事業承継に向けた支援を求め当拠点へ訪れた。
当初の相談者は社長であったが、入社2年目の専務(息子)に商品開発と販路拡大を担当させ、後継者として育成したい考えがあったことから、自社製造への取組みは専務と直接行う必要があると判断。専務には、計画書や助成金申請書の作成から販路拡大のための展示会出展まで、あらゆることに対応してもらう必要があると判断した。
Coは、相談者の新商品の開発事業計画を精査し、県に提出する「経営革新計画」の変更を提案。あわせて、「事業承継新事業活動支援助成金」の申請書作成とプレゼンテーションの準備を支援した。
販路拡大に向けては、学生が起業し運営していた缶詰バー(缶詰をおつまみとして販売するバー)への売り込みや、展示会への積極的な出店を提案。また、広報活動としては「ALLいわみイチオシ商品発表会」事前セミナーで、プレスリリース資料のブラッシュアップを支援。これら全て、専務と共に実行していった。
「ものづくり補助金」の採択により缶詰製造機を導入。遂に缶詰の自社製造を開始。2か月で3,000個を出荷し、売上は好調。また、Co支援のもと助成金も採択を受け、それを原資として販路拡大への施策も推進。浜田商工会議所と連携して対応した。地元の缶詰バーとの取引も開始した専務は、プレスリリースにより広く周知したこともあり、大手新聞や地方紙からも取材を受けた。その他、NHKの全国放送で缶詰が紹介されるなど、メディアの注目も高まり、ホームページでの問い合わせも増えた。当拠点支援のもと、商品開発から販路拡大まで成し遂げた専務は、自信をもって事業承継完了へ向けた準備を進めている。