ネットを活かした戦略と店舗見直しで窮地に立たされた経営を改善
少子化に伴い、年々減少する売上高。「時代の流れ」と諦めていた地域の小売店が、 ネット戦略を中心とした改革で売上拡大に挑む。
代表者:矢島 秀明(やじま ひであき)
住 所:徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜523
相談者は、徳島県鳴門市で40年にわたり衣料品小売業を営んできた。売上減少の始まりは10年前、それまで独占的に取り扱っていた地元高校の制服がブレザーに変更になり、その高校との取引自体がなくなってしまい、年商にして一千万円近くが減少。その後、少子化の影響やファストファッションの進出などにより売上高は年々縮小していった。それまで、売上高を増加させる対策や広報活動について取り組んだことがなく、何をすればいいかすらわからず悩んでいたところ、金融機関から当拠点を紹介され、相談するに至った。
担当コーディネーター(以下CO)は、事前に店舗の立地状況や近隣の競合状況などを把握した上、店舗を訪問。
丁寧に企業の経歴や現在の状況、「地域のために店舗を閉店するわけにはいかない」という相談者の強い思いなどをヒアリング。SWOT分析を行うと同時に、売上高及び収益を上げるために「情報発信」「店舗全般の改革」「スクールウェア部門」「カジュアル部門」を重点課題として絞り込んだ。
その上で、認知度が低い状況を考えると、両部門の店舗運営の改善やSNSを利用した広報活動で課題解決は可能であると判断。店づくりに強いCOとSNSやネット広報に強いCOとタッグを組んだ支援を開始した。
相談者は、当拠点が行っていた「Facebook活用セミナー初級編・中級編」、「ビジネスに利用するYouTubeセミナー」を受講し、そこでの提案に基づきすぐに店舗のFacebookページを作成、積極的な広報活動を始めた。定期的な更新を続け、Facebookを見て来店する客も増加しており売上げも増加している。
また、自社HPの全面リニューアルを行い、学生服購入者への無料サービスである「丈直し・修理」をアピールし、「スクール体操服へゼッケン付け」は動画も載せた。
カジュアル部門の取り組みとしては、COのアドバイスを基に、お客様の動線に配慮し、商品のゾーニングや棚割について大幅に変更を加え、POP等も作成し店内のにぎわいを演出した。
さらにスクールウェア部門は下取りの強化や域外への営業活動も提案を受け実行した。
「相談するまでは、売上げが上がらないのは少子化の影響であり仕方ないとあきらめていました」と相談者。できるだけ費用を掛けずに行なえた広報活動の効果は大きく、今では、ネット販売もスタート。SNSでの展開で収集した顧客要望から、大きなサイズの商品を増加させるなど、独自性を出すチャレンジも行っている。
積極的な改善行動の循環が生まれた店舗運営において、周辺町村の小学校へ営業活動を行うなどの外商的展開も自然に行うようになった。今回の支援において、相談者が自分の事業の未来に対して希望が持てるようになったことが最大の成果だ。