商品の魅力を見つめなおして新たな販売ルートを発見
相談者は、徳島県の地産品を使用した石けん「碧ものがたり」シリーズを開発。当初パッケージデザインに悩んでいたが、本質的な課題はビジネスプランにあった。改めて商品の魅力を分析することで化粧石けんという新たな販路が見出される。
徳島県の地産品を使用した商品を開発し、販売したいという思いから鳴門の塩、藍住の春人参などを使った新商品となる石けん「碧ものがたり」シリーズを開発した。しかし、これまでパッケージ等を考えたことがなく、どのようなパッケージで販売したら良いかわからなかったためFacebook活用セミナー等で知っていたことから当拠点への相談に至った。
また、手作り石けんの販売をしていたものの、趣味の延長線上でビジネスを開始したため単価が安く、総利益率が低い状態が続き自社の商品価値を見出せず、今後のビジネス展開に対しても悩みを抱えていた。
当初、デザインを担当するコーディネーター(以下CO)が、「碧ものがたり」のパッケージデザインについて相談を受けた。事業者の思いや今までの経緯、商品の特徴などをじっくりと聞いていく中で、問題点はパッケージだけでなくビジネスとして成り立っていないことだと考え、中小企業診断士のCOにも相談し二方向からのアプローチに切り替えた。
「碧ものがたり」石けんの価値を把握するため、実際に20~50代の女性に使用してもらい、使い心地や問題点、希望価格などをヒアリングした。その結果、「碧ものがたり」石けんは相談者の考えている普段使い用の石けんではなく、自分自身へのご褒美や、贈答用として優れていることが判明した。
ヒアリングの結果を受け、パッケージや見た目を整えることはもちろん、販売サイズも市場に出ている普段使いの石けんと差別化していかなければならないという課題が見えた。
まず、担当COは商品の間口を広げるために、①これまで100gサイズだけの販売だったが25gサイズを作成し様々な価格帯で売り出すこと、②パッケージ顔となる箱の形状やそこに着ける帯に高級感を出しつつ「碧ものがたり」としてのブランド力を確立すること、そして③プレスリリースや、県外イベントやギフトショーを通して商品の認知度と販路の拡大を提案した。また、販路開拓に伴う必要資金は、とくしま産業振興機構の「とくしま経済飛躍ファンド」等を使用することを提案した。
提案を受け、販売している石けんに25gの新たなサイズを加え、ひとつひとつに「碧ものがたり」のタグをつけることで制作者の思いを購入者に伝えるよう工夫した。また、高級感を感じさせるパッケージデザインにしただけでなく、石けん自体にも内容がわかるような帯を巻くことで、統一されたブランドイメージの確立を狙った。
さらに、ビジネスとして展開していくことを考え、100g商品を値決めの軸とし従来の2倍の価格に設定した。25g商品はその4分の1に設定することで、サイズだけでなく価格帯に関してもバリエーションを増やすことができた。
従来の4分の1サイズの商品を新たにラインアップに加えることで、サイズや価格帯が豊富になっただけでなく、化粧石けんとしての新たな販売方法も検討できるようになった。
また、「碧ものがたり」として新商品販売を促進するために、プレスリリースを作成し、地元新聞社に報道依頼を行った結果、地元紙で取り上げられることに成功した。加えて、当支援拠点広報活動の一環として、地元タウン誌にも掲載された。今後は、「とくしま経済飛躍ファンド」の支援を受け、徳島県内外のイベントやギフトショーへの出店を行い、販路を拡大していく予定である。