事業計画作成で金融機関との信頼構築 資金繰り改善や収益力向上にも寄与
平成22年設立の一般貨物運送業者。冷凍物の運送に強みがある。当初はトラック5台の体制で立ち上げたものの、営業を貨物利用運送業者(実際の運送を請け負う他の事業者を利用して、貨物を運送する事業者)に任せていたため、売上高が乱高下し、資金繰りが安定しなかった。当拠点の支援により、大手運送会社との直接取引に成功。4台体制として資金繰りも安定化した。
代表者:石本 啓二
住 所:〒779-0104 徳島県板野郡板野町吹田千田ノ内24-1
連絡先:088-624-7421
当拠点からのアドバイスを受けて直接取引に成功し、資金繰りが安定。金融機関との取引も当拠点が間に入ることで良好となった。事業が好調で、運転手の雇用にもめどが立ったことから、同社取締役で、全株式を保有する相談者の父が主導し、設備投資を実施。リースを利用し、冷凍トレーラー2台、冷凍車4台の計6台体制に移行したものの、リース料の支払いや従業員給与など固定費が増加した結果、再び資金繰りが悪化することに。取引金融機関との信頼関係にも問題が発生したことから、相談者は再び当拠点を訪れた。
まず、前回経営改善を担当したCOが、同社が置かれた状況を確認。前回相談時に支援した資金繰り表の作成は、経理担当者の変更により行われていないことが判明した。一方、車両ごとに売上高を記録した資料は作成しており、売上の問題点を把握することは可能だった。相談者にヒアリングを行い、傭車(固定の得意先の専属で仕事をする車両)となっていない車両の売上が安定していないことを把握。その要因は、関東方面への「上り」の荷物はあるものの、逆の「下り」の荷物に対応できていないことだった。下りの荷物を確保できても空車で走る区間ができてしまうため、売上を安定的に得るには傭車を増やすことが必要だった。また、経費については前回支援時に削減できており、これ以上の削減は困難。燃料の高騰などに対応するため、今後値上げ交渉を行う必要があることも確認した。
COは、傭車増加のために営業活動を行うよう相談者にアドバイス。各社との折衝の結果、2台の傭車化に成功した。さらにCOは、財務状況などを相談者と経理担当者に再度ヒアリング。「債務の返済まで考慮して、車両ごとに採算の合う体制を整えること」「会社のガバナンスを向上させ、金融機関との関係構築に努めること」などをアクションプランとした事業計画の作成を支援した。また、徳島県信用保証協会の経営サポート会議制度を利用し、取引金融機関に現状や事業計画などについて説明する機会を設けた。
6台の車両のうち5台が傭車となり、資金繰りが安定した。また、取引金融機関への事業計画説明で、アクションプランや数値計画、ガバナンス強化策などに理解が得られ、金融機関による支援継続が決定。相談者が現状を把握し、提案した対策を速やかに実行したため、大幅な経営改善ができた。今後は収益力向上のため、燃料費や人件費などの増加に見合う、公正な値上げ交渉を取引先と行っていく。
・代表者に現状を認識してもらい、短期的な資金繰り対策を提案
・将来的への道筋を立てるために事業計画作成を支援
・金融機関への説明を行い、信頼関係を再構築
車両ごとの収支状況の把握や試算表作成をはじめ、事業計画に加えるべきことや行わなければならないアクションプラン、実施時期などを一緒に考えてくださり、感謝しています。取引金融機関にも、私の気持ちを代弁して説明いただき、信頼関係も醸成されました。今後のメルクマールになる事業計画を実行していくことに大忙しですが、引き続きよろしくお願いします。