経営改善計画により業績を回復し 2年連続で新卒採用を実現
同社は受注型、労働集約型の建設会社であり、総売上の約80%を大手電力会社の下請け業務で占めていた。相談者が会社を継いだのが平成21年。その時点で借入金や繰越損失があり、原価や資金繰りなどの管理が不十分であった。その後に起きた平成23年の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故で、受注が大幅に減少。有利子負債の返済に窮する事態にまで陥った。そこで、自己の経営を見直す経営改善計画書策定に着手するため、当拠点への相談に至った。
Coがヒアリングにより洗い出した課題は、「受注時の原価計算や利益管理ができていないこと」、「資金繰り表を作成しておらず、入金額の確定が不正確であること」、「社員人件費過多と人時生産性の低下」であった。売上の大幅な減少という現状を打破するために、まず経費の見直し、返済猶予を含めた返済計画策定が必要であり、最も重要である経費見直しのポイントとなるのは、社員のリストラを含めた人件費削減であると判断した。
赤字体質からの脱却を図るため、役員報酬の大幅削減、幹部社員のリストラ、社員の給与削減を提案。提案事項の実行にあたっては、全社員の理解と協力が必要不可欠であることから、定例会議を開き、会社の危機的状況を全社員で共有するよう提案した。さらに経営改善計画書の策定においては、有利子負債の1年間返済猶予と10年間の返済計画、有利子負債の金利削減等の金融調整案を提示。さらに今後は安定した売上を見込めるよう、これまでの大手電力会社1社偏重というリスクの大きな業務受注構造の改変に向けて、新規に官民受注獲得への営業活動を行うよう提案した。
宇都宮市の土木事業の入札への参加や、個人住宅の外構工事や土木事業への新規参入など、積極的な営業活動により受注が回復。さらに社内で受注工程進捗会議も実施するようになると、以前に増して社員の経営参加意識が高まった。利益の確保を重視するという原価管理体制も強化されて、営業利益が安定化し業績が回復。Coの助言に従い求人票に職能評価制度による賃金票を添付したところ、2年連続で新規社員の獲得に成功。リストラ実施後の業績回復に伴う人材確保の課題も、スムーズにクリアできた。