静岡からフェアトレード商品を発信 一からの創業を果たす
「人の優しさを引き出す」をコンセプトに、フェアトレードで生産された商品を販売するビジネスをスタート。 事業計画を一から詰めていく中で、課題を解決し、オリジナリティのあるブライダルギフトへと展開させていった。
代表者:久保田 優(くぼた ゆう)
住 所:静岡県静岡市葵区
幼い頃から世界の貧困問題に関心があり、貧困は人の可能性を制限すると感じていた相談者。イギリス留学時にフェアトレードの概念に出会い感銘を受け、帰国後は、それをビジネスとして展開することに強い関心と意欲を持つようになった。
「途上国の知人と協力者を得たことを契機に創業に踏み切った。デザイン性を兼ね備えた陶器の企画・デザインを行い、主に途上国の提携生産者とともに、フェアトレードで生産していこうと考えた」
留学時の研究・実践の中でフェアトレードの経験はあったものの、ビジネスに関する経験やノウハウ、経営、貿易の実務知識等は不足していた。事業を行う上での不安を解決すべく当拠点の相談に至った。
創業からのスタートということで、事業資金調達から輸入手続き、プロモーションの実施、協力業者の選考など、ビジネスモデルを一から詰めていく必要があった。
一方、ネパールの陶器生産は、生産者にデザインや釉薬の組み合わせを細かく伝えても、全く違う色や柄のものができあがってくることもある。相談者は互いを理解しながらつくり上げるという思いで、一方的に指示するのではなく、職人たちのこだわりや提案に耳を傾けながら、形やデザインのやり取りを繰り返していった。
初めての創業にもかかわらず経営者としての意識をしっかり持ち、さらに、フェアトレード等の知識、ネットワーク構築力も備えていた相談者。今後の事業展開についても方向性がブレず、サポートが必要な内容は、明確であった。
まず、資金調達の柱として創業補助金を活用。静岡商工会議所と連携して当拠点が事業計画のブラッシュアップを実施。また、当面の運転資金を手充てするため民間金融機関からの借入についても検討し、海外展開への支援に実績のある金融機関を紹介した。プロモーション策としては地元でのアピールを行うとともに、購買力のある首都圏での販売のきっかけを掴むべく、東京での展示会、ビジネスマッチング等でのPR活動を促した。商品化の過程では高級感ある化粧箱等を製作する当拠点の別の相談者を紹介した。
補助金採択直後、商品の主な輸入先であるネパールに大地震が発生し、一時事業の継続が危ぶまれた。しかし、円滑な輸入継続のために、資金調達と合わせ金融機関の紹介等のサポートも当拠点から受け、無事に創業が実現。その後、デザインにこだわった化粧箱を展示会で発表した結果、百貨店や大手のセレクトショップから引き合いがあり、継続取引できる足掛かりとなった。こうした取組みは、静岡発・日本初の取組みということでニュース性もあり、複数のテレビ、新聞等に取り上げられるところとなった。ブライダル向けに関しては、新商品として引き出物の購入額の一部を、新郎新婦が指定した慈善団体へ寄付するマッチングギフト「しあわせのお福わけ®」が完成した。
「創業当時より資金調達をはじめ、各課題に応じた専門家からの助言をいただき、親身な支援があったことを、とても心強く感じている」と振り返る相談者。優しさとこだわりが詰まったビジネスに、注目が集まっている。