主婦が手作り猫グッズの海外展開に挑戦し売上200%超
趣味が高じて猫グッズを自作し、インターネットに公開したところ評判を呼び事業にまで成長。思いがけず海外から独占販売権が欲しいと申し入れを受け戸惑うが、実務を通して、海外との取引の感触をつかんでゆく。
平成26年に猫用品の専門店としてインターネットショップ「necono」を楽天市場にオープン、ペットグッズの販売を開始した。平成28年4月に、日本の楽天市場を見た韓国の卸販売業者から連絡があり、独占販売権が欲しいと申し入れがあり、海外とのビジネスは想定していなかったため当拠点を訪れた。
また、タイからシルバー製の鈴を仕入れ、日本製の革紐と組み合わせて、猫用本革首輪として販売したいと思ったが、海外からの仕入れも初めてであり、タイの鈴メーカーとのコンタクトの取り方、価格交渉を含む、鈴の輸入に関する一連の業務についても支援して欲しいという要望もあった。
相談者の本業は不動産業だが、趣味が高じて猫グッズを自作し、インターネットに公開したところ評判を呼び事業にまで成長してきた。思いがけず海外から販売代理店になりたいとのアプローチがあり、海外展開は全く念頭になかったので、海外取引のイロハを教えて欲しいとの相談に応えることとした。
当拠点のコーディネーター(以下CO)は、個人が海外から商品を輸入することは珍しくはないが、会社の事業として継続して取引を行っていくには、リスクやトラブルも覚悟して進めていく必要があることを、実務を通して習得することを相談者に提案した。そのためには、なるべく直接先方とやりとりをするよう推奨した。
また、アジア地域のペット市場の情報収集については、JETRO関東貿易情報センターに支援を依頼し、基本的なデータの収集を行ったところ、アジアのペット市場が急激に拡大していることが判明した。
韓国の販売代理店契約については、英文の販売代理店契約書の雛形を渡したうえで、ポイントを解説。海外取引の場合、将来起こりうるトラブルや考え方の相違を想定し、出来る限り詳しく契約内容を取り決めておく必要性を理解してもらった。
韓国の販売代理店が要求している独占販売権については、最初から認めることはせずに、まずは非独占販売権を与えて様子をみて、任せそうなら後から独占販売権に切り替えるようにアドバイスした。
ビジネスメールのやり取りでも、まずは自分のことば(英文)で考えてもらい、COが確認し、修正案をアドバイス。価格や納期を含め、遠慮せずこちらの主張を相手にぶつけることで、意思疎通が深まることを実感して頂いた。
この経験を活かしながら、タイからの鈴の輸入も主体的に取り組み、英文でのやりとりも自信を持ちつつある。
韓国の販売代理店との間では、平成28年6月15日、販売代理店契約書に無事調印した。販売開始後、韓国からは3ヶ月毎にまとまった受注ができるようになっている。特にコロコロボールはBENYCATのショップページで人気商品となっている他、平成28年には猫が主役の韓国ドラマ「想像ねこ」に同社のおもちゃが使用され、さらに人気を集めた。売上げベースで見ると、海外販売を始めた平成28年は前年比200%超の売上げを達成した。また、タイからの鈴の輸入についても仕入は順調に進捗している。
相談者は「COの豊富な知識と経験は、海外展開に取り組む勇気を与えてくれた。平成29年11月には当拠点ならびに上尾商工会議所の支援により台湾での展示会にも出展し、ブースを訪問した企業との間で台湾における販売代理店契約の交渉中である。」と、アジアペット市場での更なる躍進に意欲を示している。