生まれ育った故郷の自宅を改装 山間部ながら予約が困難な人気カフェが誕生
令和2年5月開業。コロナ禍での開業にもかかわらず、開業3ヶ月で雑誌にも取り上げられ、連日盛況で予約の取れない日もしばしば。「山の上」の名の通り、決して利便性の高い立地ではないが、名物の可愛らしい野菜を中心とした手毬寿司や季節の小鉢、手作りデザートは女性客を中心に高い支持を得ている。
代表者:市原 靖子(いちはら やすこ)
住 所:〒714-1227 岡山県小田郡矢掛町小田3133
連絡先:090-5889-9153
相談者は、「自らが生まれ育った村で、周りの人々を元気にできる場所を作りたい」という夢を持ち、自宅を改装してカフェを開業する決心をした。しかし、飲食店運営のノウハウもなく、自分の得意料理だけで商売が成り立つか不安を抱えていた。どこか相談できるところがないかと探していたところ、当拠点の存在を知り相談に至った。
COは相談者へヒアリングを行い、どのような店舗を計画しているのか確認。相談者の得意料理であるローストビーフ丼を顧客に提供したいとのことだったが、事業コンセプトが明確でなく、差別化も難しいと思われた。また、店舗の場所が非常にわかりにくく、集客には目玉商品が必須であるとアドバイス。さらに、カフェは、女性をターゲットとし、見た目のかわいらしさや華やかさでアピールできれば、遠方からの集客も可能であると提案。ターゲットを女性に絞り、商品開発をスタートした。
COはカフェの盛況店を事例に挙げ、女性に人気な商品のラインアップを相談者と共有。相談者の職歴から巻寿司の取扱いを経験している点に着目し、見た目のインパクトと演出のしやすい手毬寿司を提案。同店は山間部のため野菜を中心とした具材にすることを考案した。これに加えて、女性受けする盛付けと器を選定し、店舗規模と計画売上をもとにオペレーションにも力を入れた。相談者も、地元の強みを活かし、地産食材の仕入れを知人にお願いしたり、近隣の方にチラシの配布を協力いただいたりと、「同店を絶対に成功させる」という強い意志のもとで開業を目指した。
コロナ禍での開業ではあったが、山間部という同店の立地が逆にチャンスとなった。開業3ヶ月で雑誌に紹介され、半年後にはテレビ取材も受ける人気店になった。売上は事業計画の目標の20%増で順調に推移。今後は、客席に限りがあることを考え、客単価アップを図るためごちそうランチの考案を進めている。季節感や地産地消の食材を使い、顧客のイベントや記念日に合わせて、見た目にも飽きさせない商品開発を継続していく。
初回相談時は、コンセプトが明確でなく、創業に対する意識の甘さも感じました。しかし、ビジネスにおけるポジショニングとターゲティングの重要性を伝え、さらに飲食店の現状や厳しさを根気よく伝えることで相談者の意識に変化が生まれ、前向きに取り組んでいただけました。相談者の提案を謙虚に受け止め、改善のスピードを意識していただけたことで、同店の強みを生かし、計画を確実に進めることができました。
何度もよろず支援拠点へ通い、その都度丁寧にサポートしていただきました。時に厳しく指導してくださり、自分の考えの甘さに気づくこともありました。特に、名物の手毬寿司はCOのアドバイスなしでは辿りつかない発想だったと思います。スタートしたばかりですが、今後も引き続き相談させてください。