開店以来初の大リニューアルによる宴会獲得で売上アップ

相談者が店を構える府内町は、大分の官庁街に最も近い繁華街である。ここでも近年は、「家飲み」の浸透や、日常的な小規模宴会需要の減退などにより、外で飲んで帰るというライフスタイルを好む層は減少傾向となっている。その一方で今も一定数ある50名程度の宴会という引き合いには、相談者の店舗では貸し切りでしか対応できなかったことから、断らざるを得ない状況であった。
そこで相談者は、売上拡大には個人客の評判を高めることが必要と考え、Facebookの活用をスタート。その結果、カウンターや小座敷の稼働率は高まり、売上げもアップしていた。このFacebook活用を提案したコンサルタントが当拠点に所属していたことから、さらに経営全般に関するアドバイスを受けてみようと、来訪相談するに至った。

初回相談では、法人成りについて知りたいとのことで相談者は話を始めた。しかし、店舗運営に対する想いやメニューの特徴、価格帯、顧客層、個人客と宴会客の売上構成比などをコーディネーターが確認した結果、現在断っている宴会（50名程度）需要と、好調になりつつある個人客とを両立させる対策を検討・実施することの方が法人成りの是非の検討よりも優先順位は高いと判断。店舗レイアウトの見直しで対応できないか、当拠点からヒアリングしたところ、確かに、レイアウト改善で両立が実現できるのではないかと相談者も考えていたが、工事費用の相場や手順、最適なレイアウトが明確にならず、漠然とした不安から具体的な行動に移せずにいる状況が判明した。

そこでレイアウト改善を前提にしつつも、それだけでは根本的な解決にならず、販売促進と絡めた総合的な計画策定が望ましいことなども提案し詳細に話し合った。
その結果、店主の構想であったレイアウト変更方針を、「個人客とのさらなる関係深化と、中規模宴会の需要を両立させるレイアウト」と定めることを助言。個人客に対してはカウンター拡充で席数を増やし、宴会需要に対しては固定間仕切りで分断されていた座敷を広げ、可動間仕切りを導入することをアドバイス。資金調達については、作成した事業計画に基づき持続化補助金を使うことも提案した。
相談者は速やかに工事業者を選定し、見積書を請求。「補助金の採否の結果にかかわらず改装しようと心が決まっていた」というものの、持続化補助金にも採択され、着工できた。

当拠点から、ハード面とあわせて提案した改装後の平日のリニューアルフェアも実行に移し、通常の営業日の売上20%アップを達成。また、宴会予約が狙い通り増えており、9月末のリニューアル後の2か月では例年を上回るペースで予約が入っている。
これまで失注していた宴会を確実にとれる体制が整った成果とみられ、今後の売上増加が見込まれる。個人客についても厨房と客席との距離が縮まったことで交流がさらに深まり、来店頻度の高まりが期待される。
相談者も「最初は何を相談していいか分からなかったが、よろず支援拠点に相談することで、改装に踏み切れただけでなく、経営方針を見直すことができた」と満足感を滲ませた。